アイカ工業の茨城工場内で“高級人造石”の新工場棟完成 投資額約8.3億円で生産能力1.5倍に:産業動向
アイカ工業は、高級人造石「フィオレストーン」加工品の生産能力を強化すべく、2023年11月に着工した茨城県古河市の茨城工場内第2工場が完成した。
アイカ工業は2024年9月6日、茨城県古河市大和田の茨城工場内で建設を進めていた新工場棟「第2工場」の竣工式を執り行った。第2工場は高級人造石「フィオレストーン」の加工ラインを増設する目的で、約8.3億円を投じて新設し、同年10月の稼働後は生産能力が約1.5倍向上する見込み。
ストーン事業全体で2026年度に売上高約100億円を目指す
世界的に良質な大理石が入手困難となる中、インテリア業界では天然水晶に樹脂などを配合して成形した高級人造石の需要が拡大している。アイカ工業でも、2011年に高級人造石オリジナルブランドとなるフィオレストーンを発売。天然石の風合いを保ちながら、脆さや吸水性といった石の弱点を克服し、メンテナンス性や加工性に優れる点が評価され、高級マンションのキッチン天板を中心に、オフィスや商業施設、ホテル、駅、空港などの洗面や受付カウンターの需要も取り込み、市場シェアが拡大している。
フィオレストーンの加工は当初、中部/北陸地方の外部工場への委託のみだったが、需要増に対応すべく、2019年3月に茨城工場の敷地内に加工工場を建設。生産能力を高めることで納期短縮を実現するとともに、タワーマンションやホテルなどの大型物件が多く主要納入先となっている東京都市部に近い、茨城に加工拠点を追加することで物流コストの抑制を図った。同年4月には磁器質大板セラミックタイル「ラミナム」の加工にも乗り出し、ストーン事業の拡大に注力してきた。
その後も旺盛な高級マンション需要の継続、洗面などへの用途拡大、インバウンド回復によるホテル需要の伸長によって、高級人造石市場は成長を続け、フィオレストーンのさらなる売上拡大が見込まれたため、投資額約8.3億円で既存工場棟の隣に第2工場を開設することとなった。
第2工場は2024年10月から稼働する予定で、生産能力は従来の約1.5倍に向上する。また、加工ライン増設に伴い、アイカインテリア工業で約30人を新しく雇用している。2026年度にはフィオレストーンを含むストーン事業全体で、2022年度比約1.4倍となる売上高約100億円の目標を掲げている。
アイカ工業 代表取締役 社長執行役員 海老原健治氏は、「フィオレストーンは、10年間で売上が6倍以上に伸長している成長商品。天然石は環境保護の観点などで採掘が難しくなっており、代替素材として高級人造石が選ばれている。高級マンションのキッチン天板用途に加え、人気を集めている造作風洗面化粧台のスマートサニタリーをはじめとした住宅の洗面天板用途も伸びている。非住宅市場でも、レストランのカウンターやトイレのパウダーコーナーなどに用途が広がっており、工場はフル稼働を続けてきた。今回の設備増強により、旺盛な需要に応え、フィオレストーンを含むストーン事業をさらに成長させていく」とコメントしている。
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