「スバル工場」プレスライン干渉検証の3Dデジタルツイン構築、シリコンスタジオ:デジタルツイン
シリコンスタジオは、アルゴグラフィックス、マンカインドゲームズとともに、スバル工場のプレスライン干渉検証のための3Dデジタルツインをゲームエンジン「Unity(ユニティ)」で構築した。
建築、自動車、エンタテインメントなどの業界向けにデジタルコンテンツの制作やデジタルツイン環境の構築などを手掛けるシリコンスタジオは、自動車メーカーSUBARUの工場を対象に、ゲームエンジンを活用した3Dデジタルツインでプレスライン搬送シミュレーション環境を構築したと2024年7月に発表した。開発には、PLMソリューションを提供するアルゴグラフィックスと、UnityおよびUnreal Engineの専門家を有するマンカインドゲームズとの3社共同で担当した。
Unityベースの開発で今後の機能拡張や汎用性も見込める
SUBARUは、工場内のプレスラインで、型間搬送上の干渉を事前に発見し、不具合を設計検討の際に織り込むことを目的とした実際の動作を仮想空間で再現するトランスファープレス機などの搬送シミュレーション環境を検討していた。
今回のプレスライン搬送シミュレーション環境は、プレス型データの配置からシミュレーションの実行、干渉チェック、チルト手動設定、実行結果の出力までをリアルタイム3DCGのヴァーチャル空間によるデジタルツインで可能にした。
シリコンスタジオは、これまでの豊富なデジタルツインの開発実績を背景に、SUBARUと多くの取引実績を誇るアルゴグラフィックスと、ゲームエンジンに関する卓越した技術を有するマンカインドゲームズとの協業体制のもと、SUBARUからの委託を受け、ゲームエンジン「Unity(ユニティ)」で開発した。
Unityの物理計算機能で、指定するプレス型に対するパネルの干渉シミュレーションだけではなく、カムの挙動シミュレーションも可能になり、カム動作の再現から設計時におけるカムのタイミング検討にも利用できる他、今後の機能拡張や汎用性も見込まれる。
SUBARU 車体生産技術部 車体企画課 柴田康徳氏は、「今回はプレスラインの搬送シミュレーションをシリコンスタジオ、アルゴグラフィックス、マンカインドゲームズとともに開発し、短期間で柔軟性のあるシステムを構築できた」と話す。
また、「システムではサーボプレスへの適用、干渉チェックの効率化や新規ラインの導入、ライン改造への柔軟な対応を実現している。今後は、プレスラインの特徴となる製品別チルト搬送への対応や新規モーション検討、物理エンジンやAIの強化学習の活用なども視野に入れて開発を進め、競争力のあるプレス生産の実現を目指していく」とコメントしている。
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