AIと画像処理技術を活用した高精度な削孔座標検知技術を開発、モルフォとライト工業など:スマートコンストラクション
モルフォとライト工業、EARTHBRAINは、AIと画像処理技術を活用した高精度な削孔座標検知技術「削孔位置画像計測システム Quick Drafter」を開発した。ライト工業が受注した橋梁耐震補強現場に展開し、作業時間を70%削減した。
モルフォは2024年8月27日、構造物の補修と補強を専門とするライト工業、建設業向けデジタルソリューションを開発するEARTHBRAIN(アースブレイン)とともに、AIと画像処理技術を活用した高精度な削孔座標検知技術「削孔位置画像計測システム Quick Drafter」を開発したと発表した。
Quick Drafterは落橋防止装置施工において、コンクリートの削孔位置をスマートフォンのカメラで撮影し、自動で孔位置を計測して図面化する。既にライト工業が受注している橋梁(きょうりょう)耐震補強現場に展開し、作業時間を70%削減した。高所や足場の悪い現場での作業時間が短縮できるため安全性向上にもつながる。
今後は課題を抽出しながらアプリの改善を進め、ライト工業では外部への販売なども検討する予定だ。モルフォは引き続きアプリケーションの保守サポートを行っていく。
Quick Drafterの開発はライト工業の依頼でスタートし、3社で連携してシステムの実用化に向けた開発を進めてきた。モルフォはAI/画像処理アルゴリズムとアプリケーション開発を担当し、EARTHBRAINは建設業界向けオープンIoTプラットフォーム「ランドログプラットフォーム」を提供している。
橋脚耐震補強工事では、落橋防止装置を取り付けるため、橋脚に鋼製ブラケットを設置する。ブラケットの固定用にアンカー孔を削孔する際、既設コンクリートの鉄筋を切断しないように当初の設計位置で削孔できない場合があり、その都度、現場で実際のアンカー削孔位置を正確な位置を計測し、図面を作成する必要があった。
新システムは、現地で鋼製ブラケットの外周線を引き、四隅にタグを貼り付けてスマホのカメラで撮影する。画像をアップロードすると、数分で孔位置の計測結果を出力して自動的に図面化するため、手動計測作業と計測機材が不要になる。
孔位置の計測にはミリ単位の精度が求められるが、スマホカメラの端末ごとのレンズ個体差が、計測精度に影響を与える可能性がある。そこで、対象物を複数回撮影することで、レンズパラメータを自動的に調整するキャリブレーション機能を搭載した。
また、検出精度を高めるため、撮影対象物の四隅にタグを取り付けて画像変換、補正する機能を搭載。タグサイズを用いて画像ピクセルを物理的なサイズに変換し、写真から正確なサイズを測定できる。タグを利用することで画像のゆがみ補正も可能だ。多少斜めから撮影しても正面画像に調整し、正確に計測できる。
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