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点群を180度ひっくり返す「裏面投影」など、点群データで平面図作成が実現する「ANIST」:第6回 建設・測量生産性向上展(2/2 ページ)
土木設計の分野で、点群データの利用は一般化した手法となっている。しかし、取得した点群を設計に生かすには、変換や調整などで多くのステップを経なければならず、業務プロセスの隠れた負担となっていた。アイサンテクノロジーの「ANIST」は、こうした負担を大幅に軽減し、点群データの有効活用の場を広げる新しいアプリケーションだ。
点群を“裏面”に表示することで、フィルタリングが不要に
点群データには、電線や樹木、通行する人や車両といったさまざまな不要な要素が取り込まれている。そのため、通常は点群データを作図に使う際、フィルタリングを行うが、ANISTでは必要ない。
作図に不要な点群を表示させない方法としてANISTが採用したのが、「裏面投影」というアイデアだ。道路をCADデータ化したい場合、必要なのは道路に関する点群のみで、電線や樹木などの点群は余計なものだ。そこで、ANISTでは点群を180度ひっくり返した状態で投影し、道路以外の不要なデータを道路の向こう側(裏側)に配置できるようにしている。
さらに、横断歩道の表示幅や間隔に代表される規定表示の数値を把握した状態で、連続配置する機能も備え、「とまれ」などの路面標示も自動で配置できる。展示ブースでは、この他にもANISTの高い操作性をはじめ、法線カーソルや寸法ガイド、角度ガイドなど便利な作図サポート機能などを紹介した。
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