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“高さ日本一”更新、東京駅前に390m「Torch Tower」建設 大地震から守る秘密を三菱地所が解説第8回 JAPAN BUILD TOKYO(2/2 ページ)

JR「東京」駅から徒歩1分の「常盤橋エリア」で、3.1ヘクタールもの都内で比類ない広大な敷地を対象に、「TOKYO TORCH」の街区名称で再開発プロジェクトが進められている。計画では、東京の玄関口に新たなシンボルとなる麻布台ヒルズを上回る高さ390メートルの「Torch Tower」が誕生する。

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建物全体を包み込むブレースチューブ構造とダンパーを組み合わせ

 採用された外殻ブレース制振構造は、建物の外周にブレースを配置することで建物全体の耐震性を確保するブレースチューブ構造を基本としている。ブレースチューブ構造の要所には、ダンパーを組み合わせて高い“制振”が実現する。

 三菱地所の四塚雄太郎氏は、外殻ブレース制振構造の利点で、広い居住スペースや窓枠部の柱間隔を空けることで生まれる眺望の確保を挙げる。

建物全体を包み込むブレースチューブ構造にダンパーを組み合わせた「外殻ブレース制振構造」。居室スペースと眺望の確保の双方にメリットがある
建物全体を包み込むブレースチューブ構造にダンパーを組み合わせた「外殻ブレース制振構造」。居室スペースと眺望の確保の双方にメリットがある

 通常、超高層のビルは、建物の中心となるコアの部分に、構造体を作ってブレースを組む。しかし、コアは建物の高さに比例して多くの面積が必要になる。Torch Towerのような400メートルクラスの建築だと、コアの部分によって多くの居室スペースが削られてしまっていた。Torch Towerで採用した外殻ブレース制振構造であれば、建物のコア部分をコンパクトにできるため、居室スペースも広がる。

 窓部の柱の間隔は、従来の耐震方法では7メートルくらいが限界。四塚氏は外殻ブレース制振構造にすることで、計算上は10メートル間隔となり、場合によっては20メートルまで広げられると説明する。

低層階にダイヤグリッド架構を採用。最高レベルの耐震/耐風性能

 Torch Towerは、外殻の中でも特に低層部の強度を高めている。低層階に採用されているのが、ダイヤグリッド架構と呼ばれる構造体だ。ダイヤグリット架構とは、その名が示すようにダイヤ型のように柱を斜めに組み込んだ構造体を指す。

 四塚氏はダイヤグリッド架構の採用で、「建築基準法が求める値を大きく超える耐震性能が得られる」とした。ダイヤグリッド架構によって基準の2.5〜3倍ほどの耐震性能が得られ、変形率が250分の1〜300分の1ほどの強固な建築が可能になる。

 Torch Towerは、東京駅前常盤橋プロジェクトの象徴となる超高層ビル。竣工予定は2027年度だが、Torch Towerの竣工によってTOKYO TORCHの街区全体がグランドオープンする。

 既に報道などにもあるが、Torch Towerには、オフィスの他に国際級のホスピタリティを備えたホテルや約2000人を収容できるエンタテイメントホール、今までにない傾斜した空間を備えた展望施設などが新設される。Torch Towerと常盤橋タワーの間にある広場を使って、入居するオフィスに勤務する人や家族が触れ合える催しや地域との交流を深めるイベント開催も見込まれている。

「第8回 ジャパンビルド−建築の先端技術展−」の会場で講演する三菱地所の四塚雄太郎氏
「第8回 ジャパンビルド−建築の先端技術展−」の会場で講演する三菱地所の四塚雄太郎氏
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