ICT建機の導入コストを抑えるマシンガイダンス「入門版」、住友建機が提案へ:ICT建機(2/2 ページ)
住友建機は、「第6回 建設・測量生産性向上展」で、自動化や遠隔操作、安全性/生産性の向上などをテーマとしたさまざまな建設機械に関連する新技術を出展した。日本道路と共同開発した「HA60W自動走行/自動伸縮システム」のデモンストレーションや、従来よりも低コストで導入できる入門版の新マシンガイダンスシステムなどを紹介した。
最低限の機能をキットとして提供、導入しやすい価格帯に
具体的な価格は未定だが「ICT建機導入のネックはコストの高さだ。最低限の機能をキットとして提供することで、既存のシステムよりも導入しやすい価格帯を目指している」(住友建機の説明員)という。
例えば、ICT建機でGNSS(衛星測位システム)の測位誤差を補正するには、現場内に設置したトータルステーションなどの基地局から位置情報を計測するRTK-GNSSか、インターネット経由で既に日本中を網羅している電子基準点を使うネットワーク型RTK-GNSSを利用するのが一般的だ。今回発表した入門版は、基地局を置く必要が無いネットワーク型RTK-GNSSを採用した。「ユーザーの用途に合わせてカスタマイズできるのも特徴で、インターネット環境がない現場で使用する場合は無線通信機能を追加できる。モニターは通常のTrimble Earthworksのマシンガイダンスシステムと同様のもので、入門版ではあるが、使用感は通常版と変わらない」(住友建機の説明員)。
さらに、オプションでチルトローテータとの連携も可能だ。住友建機の説明員は、「チルトローテータとICTとの親和性は高い。例えば法面を仕上げる場合など、従来は足元を整地した状態で作業に取り掛かる必要があるが、チルトロ―テータを使用すれば足元を均す必要がなく、バケットを傾けたり回転させたりすることで作業できる。それだけでもかなりの効率化になるが、ICTと組み合わせることで、斜面にアプローチした際、角度を合わせることが難しい場所でもマシンガイダンスが操作をサポートできる」とメリットを語った。
HA60W自動走行/自動伸縮システムのデモンストレーションを実施
屋外展示では、日本道路と共同開発したアスファルトフィニッシャー「HA60W自動走行/自動伸縮システム」のデモンストレーションを行った。舗装を行う道路の形状に併せて、アスファルトフィニッシャーのステアリングとスクリード伸縮操作を自動で制御する。機械左右に取り付けたステレオカメラにより、現場に設置した構造物や段差などを検知して道路形状を認識する。設計データなどの事前準備は不要だ。2023年度の出展から、スクリードの制御を改良し、よりスムーズな伸縮動作とした。
オペレータをはじめとする舗装スタッフの作業負担を軽減して舗装現場を省力化する他、自動化した作業以外の舗装作業へより集中できることで、施工品質や安全性の向上にもつながる。住友建機の説明員は、「アスファルトフィニッシャーの運転は習熟が難しいと言われている。経験の浅い作業員のサポートとしてこの装置を使用することで、担い手不足や定着率の低下など建設業界全体の課題解決に貢献する」と説明した。
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