高砂熱学イノベーションセンターが「CASBEE」の最高Sランク取得、エネ収支ゼロの「ZEB」も視野に:ZEB
2020年1月に竣工した高砂熱学工業のイノベーションセンターが、「CASBEE-ウェルネスオフィス」の最高評価「Sランク」を取得した。同センターは、設計1次エネルギー消費量で91%の削減によりBELSの「5スター」の認定も受けた他、オフィス棟単体で「ZEB」と敷地全体で「Nearly ZEB」を目指すとともに、米グリーンビルディング協会のLEED認証で「GOLD」の評価も得ている。
高砂熱学工業と三菱地所設計、竹中工務店は2020年10月27日、茨城県つくばみらい市で2020年1月に竣工した「高砂熱学イノベーションセンター」で、建築環境・省エネルギー機構(IBEC)が推進する「CASBEE-ウェルネスオフィス」の最高評価「Sランク」を取得したことを公表した。
働く人々の健康と知的生産性向上に寄与するオフィスビル
CASBEE-ウェルネスオフィスは、建物利用者の健康性や快適性の維持・増進を支援する建物の仕様、性能、取り組みを評価する仕組みとして、2019年より開始された認証制度。建物内で執務するワーカーの健康性や快適性に直接影響を与える要素だけでなく、知的生産性の向上に資する要因や安全・安心に関する性能についても評価対象としている。
イノベーションセンターは、本社機能の一部(企画・開発部門)と研究所を集約した新たな拠点。運用段階では、オフィス棟は省エネと創エネで1次エネルギー消費の100%以上削減を実現する「ZEB(Net Zero Energy Building)」に加え、敷地全体では75%以上削減の「Nearly ZEB」を目指している。
CASBEE-ウェルネスオフィスの評価については、さまざまな利用者・シーン・規模を想定した柔軟性のあるレイアウト、コミュニケーションを誘発する工夫、太陽光発電・蓄電池・木質バイオマスガス化発電機など、再生可能エネルギーの活用設備を災害対応時にも自立運転できる点などが高く評価された。評価結果は、5段階で示され、最高評価である「Sランク」を取得した。
高砂熱学イノベーションセンターの所在地は、茨城県つくばみらい市富士見ヶ丘2-19で、敷地面積は2万2746平方メートル。施設の構造・規模は、S造・地上2階建て(PH1階)で、建築面積は約7100平方メートル、延べ床面積は約1万1800平方メートル。
設計者は三菱地所設計と竹中工務店で、施工は竹中工務店と高砂熱学工業が担当し、2019年2月の着工で、2020年1月に完成した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ZEB:奥村組の技術研究所、実験施設の新設とZEB化など大規模リニューアル
奥村組は、茨城県つくば市の技術研究所内で大規模リニューアルとともに新設を進めていた実験施設が2020年7月末に竣工した。リニューアル工事では、実験棟の新設以外にも、管理棟のNearly ZEB化、南海トラフ地震などに伴う長周期地震動を再現する機器の導入、高機能化するコンクリート材料に対応する研究を行う試験装置の導入を行った。 - ZEB:安藤ハザマが技術研究所を「Nearly ZEB化」、コロナ禍で換気性能などを検証
安藤ハザマは、茨城県つくば市の技術研究所をZEB実証の場とする目的で、温排熱の冷房利用などの省エネ技術を多数採用したNearly ZEB化の改修を行った。同社では、2020年4月から次世代エネルギープロジェクトの実証試験を開始しており、今回のZEB化は、このうち「省エネルギーシステムによるエネルギー需要の計画運用マネジメント」の一環として計画した。 - ZEB:五洋建設、技術研究所展示実験棟を省エネ改修で省エネ率72%
五洋建設は、那須塩原市の技術研究所展示実験棟の省エネ改修工事を完了し、運用を開始した。最新技術を含む約30の省エネ技術を採用し、建物内に配置/融合することで、72%の省エネ率を実現する。 - 住宅・ビル・施設 Week 2019:大成建設が注力する機械化施工の26年間の歴史やWELL認証取得に取り組む理由
大成建設は、ロボットを活用した機械化施工の導入を進めるとともに、社員の健康や環境に配慮した建物を建設し、ZEBやWELL認証の取得を進めている。