インフラ構造物の点検/診断を2種類のツールで効率化、IHIがスマホ点検とAI診断開発:スマートメンテナンス
IHIグループは、インフラ構造物の点検/診断作業の支援を目的に、橋梁の定期点検を効率化するスマートフォンシステム「スマホ点検士」と、AIを活用してコンクリートの劣化を診断する「AIcon診断サービス」の提供を開始した。
IHIとIHIインフラシステム、IHIインフラ建設は2024年4月16日、インフラ構造物の点検/診断作業を支援するツールを開発し、サービスの提供を開始したと発表した。
今回提供を開始したのは、橋梁(きょうりょう)の定期点検を効率化するスマートフォンシステム「スマホ点検士」と、AIを活用してコンクリートの劣化を診断する「AIcon診断サービス」の2種類だ。サービスの提供を通して、ユーザーの点検/診断作業の品質向上や効率化、コスト削減を支援する。
スマホで点検が完了する「スマホ点検士」とAI劣化診断「AIcon診断サービス」
スマホ点検士は、道路橋の点検/診断作業をスマホを使用して効率化するシステムだ。アプリ導入済みのスマホをリースで提供する。
スマホ点検士を導入することで、橋梁の損傷部位の撮影や、変状内容の登録などの点検作業がスマホのみで完結する。点検作業の終了後に事務所のPCへデータを送信すると、国土交通省の「道路橋定期点検要領」に準拠した点検調書を出力できる。さらに、複数台のスマホで収集したデータをクラウド上で統合できるため、各区間の点検作業を複数の作業者が分担して行うことも可能だ。
スマホはタブレット端末に比べて小型でポケットに入れることができ、不安定作業時に両手を使えるため、点検作業の安全性も向上する。
AIcon診断サービスでは、コンクリート構造物の損傷部位の写真から自動的に変状を識別する「変状識別AI」と、数種類の供用条件を入力してコンクリートの劣化要因を推定する「劣化推定AI」の、2段階のAI判別機能を備えた診断システムを活用する。塩害や中性化、アルカリシリカ反応(ASR)といったコンクリートの代表的な劣化要因から、劣化の主要因を推定確率とともに示す。システムにはXAI(説明可能なAI)を採用しており、推定の根拠も明文化する。
また、劣化診断に加えて、診断の内容を専門家がチェックし、AIが推定した劣化要因や運用条件に応じた対策工法を選定するサービスと、その結果を踏まえて予算規模や現場条件に合わせた概算工費をユーザー自ら算定できるシステムへのアクセス権についても、ニーズに応じて提供する。
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