ニュース
電磁波を用いた外装タイルの「非破壊検査装置」、大末建設と九大など2026年度に実用化:スマートメンテナンス
大末建設は、九州大学や九州計測器との共同研究による成果をもとに、外装タイルの非破壊検査装置を開発し、2024年度中に現場適用を目指す。電磁波をタイル壁面に照射し、反射波を測定することで、タイル裏面の空隙の有無を判定できる。
大末建設は2024年3月25日、九州大学や九州計測器との共同研究による成果をもとに、外装タイルの非破壊検査装置を開発したと発表した。
検査員の能力による判断のバラつきや技術者不足を解消
新開発の装置は、電磁波(マイクロ波)をタイル壁面に照射し、反射波を測定することで、タイル裏面の空隙の有無を判定するものだ。50二丁掛タイル1枚ごとに測定する。
モーター制御でアンテナ部を動作させることで、XY方向に1ミリ間隔でスキャンして接着面積を算出する。タイル1枚当たりで、約30秒で測定が完了し、計測結果はリアルタイムで取得できる。
疑似浮きを模したPEシートを用いた試験体を用いて計測したところ、接着率は77.0%となった。目視での評価は75.0%で、両者の差は2.0%にとどまった。
大末建設は今後、屋外での測定や検証結果の分析を進め、精度や操作性の改善を図る。操作機構も最適化し、測定時間の短縮も目指す。
2024年度中に作業所で現場試行を開始する予定で、2026年度の実用化を目標に掲げる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ドローン:小型ドローンに搭載可能な「軽量ミリ波レーダ」で外壁内部の欠陥を1ミリ秒で検出、阪大とJ商エレ
JFE商事エレクトロ二クスと大阪大学は、小型軽量のミリ波レーダを用いた非接触/非破壊による外壁内部の欠陥を、ドローンの揺らぎよりも短い1ミリ秒での検出に成功した。構造物内部の高速かつ高感度の検査で、新たなドローン活用の可能性が期待される。 - リノベ:古民家を「ミリ波」で検査し、利活用の助言を行うサービスを「建築家コミュニティ」が開発
「建築家コミュニティ」は、ミリ波で外観からは判別できない建物内部の損傷をスキャンし利活用の助言までを行うサービス「古民家再生のスキャンとプラン」を開発し、CAMPFIREにて限定3件の先行サービス提供のリターンを含めたクラウドファンディングを実施している。 - メンテナンス・レジリエンスTOKYO2023:住重アテックスの毎秒176ミリで壁面点検するロボ、壁面から天井も体をひねって移動
住友重機械工業のグループ企業である住重アテックスは、コア事業の1つ「検査診断事業」で、ドローン、3Dレーザースキャナー、フェーズドアレイ-UT(PA-UT)法、自動走行スキャンの4タイプの検査診断ソリューションと、新たに鉄鋼壁面を点検するロボット開発にも注力している。 - メンテナンス・レジリエンスTOKYO2023:オリンパスの技術力を受け継ぐ「エビデント」 “産業用胃カメラ”で構造物内部を可視化
オリンパスの技術力を受け継ぐエビデントは、医療基準で進歩させてきた技術をインフラ構造物の非破壊検査に応用し、工業用ビデオスコープや蛍光X線分析計、超音波の各機能で、多様なニーズに応える非破壊検査機器を展開している。 - メンテナンス・レジリエンスTOKYO2023:非破壊検査をリードするKEYTEC 新型の高精度電磁波レーダとコンクリ温度センサーを披露
非破壊検査機器を開発するKEYTECの新製品となる鉄筋探査機「Flex NX/NX25」とコンクリ温度センサー「T-BLOCK」。国内で増え続けるインフラ構造物の老朽化対策に、最新鋭の探査技術はどのように活用できるのか? - 産業動向:2次元的な配筋状態を非破壊で可視化、点検時間を大幅に短縮
NEDOと大阪大学の研究グループと協栄産業は、1回のスキャンでコンクリート構造物内の鉄筋の配筋状態を非破壊で可視化できる新たなセンサーモジュールを開発。2次元スキャナーに搭載することで作業時間を大幅に短縮した。