TSMC初の熊本第1工場で、大気社がクリーンルームなど設備工事を担当:プロジェクト
大気社は、TSMCが日本初となる熊本での工場建設で、クリーンルームや生産排気処理などの設備工事を担当した。参画の背景には、台湾での半導体工場の大型クリーンルームの設計・施工を手掛けてきた実績などがあったという。
大気社は2024年3月21日、半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県菊陽町に建設した熊本第1工場の建設工事で、クリーンルームや生産排気処理などの主要設備工事を担当したと明らかにした。工場は既に完成しており、同年2月24日には開所式が執り行われている。
熊本第1工場は、TSMCにとって日本初の生産拠点。日本政府が半導体を経済安全保障上の重要物資と位置付け、国内でのサプライチェーン強化を図る中で、官民挙げたプロジェクトとして、その規模の大きさや産業界への影響などから注目を集めている。
2024年12月末までには稼働を開始する予定で、300ミリウエハーの生産能力は1カ月あたり5万5000枚となる見込み。今回の工場に続き、先端半導体を生産する「第2工場」の建設も計画されている。
半導体の製造工程では、製品の品質確保のために、超精密温度や極めてクリーンな作業環境が求められる。
大気社は、空調設備の中でも特に産業空調分野に強みを持ち、これまで幅広い顧客からのハイレベルな要求に応え、数多くの精密空調やクリーンルームを手掛け、対応力を培ってきた。また、1930年代から台湾で実績があり、1989年には現地法人を設立。1990年代には、半導体工場の大型クリーンルームの設計・施工を非日系顧客含め複数請負い、現地に根付いた活動を積み重ねてきたという。大気社では、こうした積み重ねが、今回の参画につながったとしている。
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