2024年4月から始まる住宅・建築物の「省エネ性能表示制度」、そのポイントをおさらい:ZEB(3/3 ページ)
建築物の省エネ性能の周知を目的に、2024年4月からスタートする「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度」。本稿では同制度の概要や、運用方法の概要などについて解説する。
広告等への省エネ性能ラベルの掲載基準
省エネ性能ラベルを掲載する広告媒体は、新聞・雑誌広告、新聞折り込みチラシ、パンフレット、インターネット広告等が対象となる。ただし、紙面広告については、ラベルを掲載するスペースの制約がある場合(目安:A4サイズ相当以下)は、ラベルを掲載することは必須ではない。また、ラベルは視認性に配慮し、一定のサイズ(紙面広告の場合、横幅 60mm 程度を目安とする)を下回らないように掲載することが求められる。
例えば、リクルートのポータルサイト「SUUMO」では、2024年4月以降、設備・構造タグの下、設備仕様の一つとして、省エネ性能ラベルを画像として掲載することを予定している。
また、優良誤認等の不当表示を防止するため、複数の住戸・住棟を一つの広告で販売・賃貸する場合、特定の住宅や住戸にのみ該当する内容が、すべての物件に該当すると誤認される表示は避けなければならない。
なお、すでに複数の自治体において、類似する環境性能表示制度が運用されており、自治体独自のラベルが一定程度普及している。このため、事業者が自治体条例で定めるラベルによる表示を行う場合には、必ずしも本制度のラベルを二重で表示する必要は無いとしている。
エネルギー消費性能の評価書
建築物の概要と省エネ性能評価を記したエネルギー消費性能の評価書は、建築物の種類・評価方法によって記載内容が異なるが、ここでは住宅(住戸)の自己評価の例を示す。
図8は評価書の抜粋であるが、エネルギー消費性能が詳細に記載されるほか、専門用語や性能表示の意味についても解説が設けられており、消費者の理解を助ける内容となっている。
既存建築物の省エネ性能表示は?
今回の法改正により省エネ性能表示が努力義務となるのは、2024年4月以降に建築確認申請を行った物件であり、既存建築物については、省エネ性能が評価されている場合には表示することが望ましい、と位置付けられている。また、改正前の法の規定に基づく表示を行っている既存建築物は、引き続き当該表示を行うことも可能である。
今後、既存建築物についても建築物省エネ法に基づく省エネ性能表示制度によるラベル表示を促進するため、その建物特性や流通実態を踏まえた表示事項・表示方法に関する検討を行い、とりまとめた結果をガイドラインの改訂版に位置づける予定としている。
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