3.11復興工事にあたる従業員の健康状態を遠隔で常時把握、鹿島建設と稲村屋:現場管理
鹿島建設は、遠隔地に赴任する従業員の適切な健康管理のために、東京本社の健康管理センターに居ながら常時把握できるシステムの運用を開始した。システムでは、心電図、血圧、脈拍、体重などのバイタルデータと、服薬、運動、飲酒、睡眠などの生活情報をWebブラウザで確認して、健康状態をリアルタイムで管理する。
東日本大震災の被災地で宿舎を運営する稲村屋と鹿島建設は2024年1月29日、稲村屋が運営する宿舎に宿泊し、東日本大震災の復興工事に従事する鹿島従業員15人の健康状態を、遠隔でリアルタイムに管理するシステムの運用を開始したと明らかにした。
健康管理システムは、オムロンヘルスケアが開発した通信機能付き健康医療機器で測定したバイタルデータをスマートフォンアプリ「OMRON connect(オムロン コネクト)」経由で共有できる「ヘルスデータモニタリング」を活用して、現地で働く従業員のバイタルデータと生活情報を収集する。取得したデータは、東京都港区にある鹿島建設本社の健康管理センターで、Webブラウザを介した健康状態の管理に役立てる。
遠隔地に赴任する従業員の健康状態をWebブラウザで常時把握
鹿島建設は、従業員が遠隔地へ長期赴任するにあたり、必要に応じて健康診断を行い、赴任地での業務に支障がないことを確認している。一方、赴任期間中に従業員が脳/心血管疾患を発症したり、偏った食事により体重が増加したりするなど、赴任先での健康維持の不安は払拭し切れていない。被災地で働く従業員に産業医による定期問診も実施しているが、健康状態を常時管理することは難しく、健康不安が業務に影響を及ぼすことも懸念だった。
また、2024年度からは、建設業にも残業時間の上限規制が適用されることもあり、従業員の健康状態を常時把握する重要度は一層高まっている。
健康管理システムの運用は、東日本大震災の被災地で宿舎を運営する稲村屋が現地事務局となり、オムロンヘルスケアの健康機器やシステムを活用する。宿泊中の鹿島従業員が朝と夜の各1回、宿舎の各居室に設置された心電計付き血圧計「HCR-7800T」と体重計「HN-300T2」で測定したバイタルデータ(心電図、血圧、脈拍、体重など)と、各人の生活情報(服薬、運動、飲酒、睡眠、喫煙、塩分、野菜摂取)を、オムロンヘルスケアの健康管理用スマホアプリOMRON connectで、ヘルスデータモニタリングシステムに転送する。
鹿島建設 健康管理センターの産業医や保健師は、専用のWebブラウザでバイタルデータと生活情報をリアルタイムに把握し、現地に足を延ばすことなく従業員の健康状態を常時管理できる。異常値などが認められた際は、リアルタイムでアラートが発信され、健康管理センターで必要な指示や処置を迅速に行える。
今後、稲村屋と鹿島建設は、継続実施への課題を確認しながら、順次、対象者数を増やしていく方針を示している。
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