スマートシティー具現化に向けた包括連携協定を締結、日立製作所と日立市:スマートシティー
日立製作所と日立市は、デジタル技術を活用したスマートシティー(次世代未来都市)実現に向けた包括連携協定を締結した。グリーン産業都市、デジタル医療や介護、公共交通などSociety 5.0の具現化を目標とする共創プロジェクトを進める。
日立製作所と日立市は2023年12月21日、デジタルを用いる次世代未来都市(スマートシティー)計画に向けた包括連携協定を締結したと発表した。
両者は協定に基づき、グリーン産業都市、デジタル医療や介護、公共交通のスマート化を軸とした共創プロジェクトを進める。
住民が豊かに暮らせる“サステナブルな街”をともに目指す
日立市は日立製作所の創業の地であり、110年以上にわたり大切に受け継がれてきた「社会に貢献する」という企業理念の原点として日立グループアイデンティティーのよりどころとなる特別な地域。
日立市には日立グループのOT(制御/運用技術)やプロダクトを支える主要な事業所や研究開発の拠点が10カ所以上集結し、数多くの従業員やその家族が住民という側面もあることから、日立市とは強い絆で結ばれたパートナーとして長年にわたり、ともに都市の歴史を紡いできた。近年も、企業ミュージアム「日立オリジンパーク」の設立で、地域住民との新たな交流や対話が生まれる場を創設するなど、密に連携しながら、行政と産業そして住民の方々と一体になった都市づくりを進めている。
その中で、地球温暖化に端を発した脱炭素化や不平等や格差をなくす取り組みを求めるSDGsへの対応、デジタル化への対応など、課題が多様化かつ複雑化してきた。そこで両者は、地域課題を解決し、子育て世代や若者、高齢者の方など全住民の生活を豊かにすることを掲げ、ステークホルダーと一緒にSociety 5.0を実現したサステナブルな街づくりに取り組むこととなった。
両者協業のうち、グリーン産業都市の構築に関しては、デジタル技術を用いた地域内再生可能エネルギーの融通などを進め、中小企業を含めた地域産業の脱炭素化を促進する。
産学金官連携による「日立市中小企業脱炭素経営促進コンソーシアム」内に新設する「地域GX推進分科会」が、施策検討や情報共有を担当。また、日立市が「中小企業脱炭素経営支援システム」を構築して運用し、CO2排出量の可視化や削減を支援する。
デジタル医療や介護の推進では、健診データなどをベースとした将来の疾病リスク分析や、疾病予防に向けた市のさまざまな健康増進事業を連携し、パーソナライズしたサービスの提案などを検討する。
また、将来は、PHR(個人の健康に関する情報)を一元的に管理。住民の健康状態の見守りや住民に寄り添った生活習慣や行動改善のアドバイスなどを展開する。
公共交通のスマート化では、AIなどのデジタル技術を用いたユーザーのさまざまなニーズに応える移動のシームレス化を検討する。また、市街地や最寄りの公共交通までの移動手段として、歩行者と共存できる次世代モビリティの整備を検討する。
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