渋谷のスマートシティーを目指し、渋谷駅周辺にAIカメラ100台設置:スマートシティー
Intelligence Designは、都市部のスマートシティー化を目的に、第一弾で渋谷駅周辺にエッジAIカメラを100台設置し、リアルタイムで人流データを取得して、街づくりの事前事後評価などに役立てる。
エッジAIカメラソリューション「IDEA(イデア)」を提供するIntelligence Designは2023年8月3日、AIカメラが苦手としていた面での利活用を促進するため、渋谷を中心に都市部に集中的にAIカメラを配置することで面的なリアルデータ取得を行うためのプロジェクトを始動した。
AIカメラで都市部を面で抑えるデータ取得が低コストで可能に
プロジェクトで取得される情報は、安全安心に暮らせる街づくりや次世代交通計画などに生かせるため、まずは東京渋谷から都市部を中心に展開していく。第一弾として、一般社団法人の「渋谷未来デザイン」「渋谷再開発協会」とともに個人に合わせた渋谷のスマートシティーを目的に、渋谷駅周辺に100台のエッジAIカメラの設置と人流データの取得と解析に向けた準備を進める。
主要駅周辺の人流や交通量データをリアルタイムに取得することで、街づくりの事前事後評価や夏の花火大会、年末年始のカウントダウン時といった渋滞や混雑時の防犯での警備員配置の最適化や人材不足の解決につなげる。また、マーケティングの観点で、新たな視座の獲得やデータ利用価値を模索するべく、幹線道路の通行量や各商業施設への入店客数といったリアルタイムの利用者の属性情報(性別/年代)や滞在時間などの人流データを複合的に可視化したビッグデータをオープンデータ化して、各協賛事業者が利用できる形で、まちへ還元することも見据えている。
取得したデータはIntelligence Designが保有し、設置場所の提供者には該当箇所のデータを共有する他、一部のデータはオープンデータ化する計画だ。映像から抽出される人数や属性、滞留状況には個人を特定できる情報を含まず、カメラ映像は解析情報を抽出した後は、即時破棄して保存する。
これまで街の人流データを取得する方法で一般的だった多数のセンサーやGPS、ビーコンでは、リアルデータ(実数)の取得が難しく、推計値をもとにした人流の分析しかできなかった。一方で、AIカメラは設置箇所ごとにコストが発生するといった課題があり、面的なデータを取得しづらかった。
今回設置するエッジAIカメラのIDEAは、AIプラットフォームのIDEAの画像認識技術を利用した交通量調査及び防犯業務自動化サービス。設置が簡単なエッジAIカメラを活用することで、大掛かりな設置工事が不要となるため、通行量や交通量の調査業務の自動化が安価に実現する。
Intelligence Designは、これまでに渋谷のセンター街や各自治体さまなどと、商店街、商業施設や公共交通機関と連携し、AIカメラによる人流データの取得/解析を行ってきた。プロジェクトでは、ノウハウを生かし、都市部を面で抑えるデータ取得を、コスト抑えた形で進めることを目標としている。
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