新型コロナ関連で「建設業は915件が破綻」、東京商工リサーチ:産業動向
新型コロナウイルス関連の経営破綻は、負債1000万円以上で、2023年10月に259件となり、全国では累計7531件となった。業種別では、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が2番目に多い915件。
東京商工リサーチは2023年11月、同年10月31日現在における新型コロナウイルス関連の破綻状況を発表した。
最多は飲食業の1219件。建設業、アパレル関連が続く
2023年10月は、新型コロナウイルス関連の経営破綻(負債1000万円以上)が259件判明した。累計では、全国で7531件に達している。内訳は、倒産が7328件、弁護士一任および準備中が203件となった。また、倒産集計の対象外となる負債1000万円未満の小規模倒産も累計で367件で、加えると合計7898件となる。
2022年の年間件数は2282件で、2021年の1718件から3割増となった。2023年も増加傾向となっており、3月単月では328件と以前の件数を大幅に更新した。
都道府県別では、東京都が1530件と最多で、全体の2割強を占めた。次いで大阪府735件、福岡県401件、愛知県379件、兵庫県330件、神奈川県322件、北海道311件、埼玉県251件となっている。最少は鳥取県の16件となった。
業種別では、飲食業が最多で1219件。次いで建設業915件、アパレル関連(製造、販売)530件、飲食料品卸売業305件、食品製造220件などとなっている。飲食業では、コロナ禍で来店客が減少したほか、食材や光熱費が高騰したことなどが影響した。
負債額別では、1千万円以上5千万円未満が2,918件で最多(構成比39.0%)。次いで1億円以上5億円未満が2327件(同31.1%)、5千万円以上1億円未満が1508件(同20.1%)、5億円以上10億円未満が368件(同4.9%)、10億円以上が354件(同4.7%)となっている。
新型コロナ関連破綻のうち、正社員の従業員数が判明したのは7331件で、従業員数の合計は6万5429人。平均すると、1社当たり約9人となる。内訳は、従業員5人未満が4374件(構成比59.6%)と最多で、次いで5人以上10人未満が1399件(同19.0%)、10人以上20人未満が854件(同11.6%)。従業員数が少ない小規模事業者の破綻が増えてきている。
2016年総務省「経済センサス」での国内企業数358万9333社をもとにすると、コロナ破綻率は0.220%で、500社に1社が破綻した計算となる。都道府県別では、東京都が0.384%で最も比率が高い。次に、宮城県0.322%、福岡県0.316%、大阪府0.282%、富山県0.262%となっている。一方、最低は鳥取県と高知県で、0.099%となった。
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