清水建設が高層ビル建設現場の高さ100m以上で「Starlink」の高速通信を実現:通信環境
清水建設とKDDIは、超高層ビル建設現場の高層フロアで高速通信の実証実験を実施した。実証では、KDDIが提供する衛星通信サービス「Starlink Business」を用い、高さ100メートル以上の施工フロアで、安定的な通信環境を構築した。
清水建設は2023年11月24日、KDDIと共同で、超高層ビル建設現場の高層フロアにて高速通信の実証実験を実施したと発表した。高さ100m以上の施工フロアにて、安定的な通信環境を確保できることを確認している。
衛星通信サービス「Starlink」で、最大220Mbpsの高速通信環境を整備
超高層ビルの施工フロアでは、地上からの電波が届きにくいため、モバイル回線の利用が困難となる。清水建設は今回、クレーン部分が常に施工フロアの最上層に位置するタワークレーンに「Starlink(スターリンク)」専用アンテナを設置。現場内の電波塔としてタワークレーンを活用することを考案した。
実証実験では、KDDIが提供する衛星通信サービス「Starlink Business」を用い、タワークレーン上部の鋼製ロープを支持するガイサポートの手すりにStarlink専用の広角電波受信アンテナ「Flat High Performance」とルーターを設置。高さ100メートルの施工フロアで、Starlinkの通信感度を確保した。タワークレーンの旋回時に加えて、豪雨や強風といった悪天候時の通信状況を検証した結果、最大220Mbps/秒の高速通信環境を安定的に維持できると判明した。
Starlinkは、SpaceXが運用する数千基の衛星を用いた通信サービス。受信アンテナと衛星との間に遮蔽(しゃへい)物がなければ、安定した通信環境を提供する。
清水建設は今後、今回開発した手法を国内のさまざまな超高層ビルの建設現場に展開する予定としている。
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