富谷観音小山寺がクラファン開始、国指定重要文化財「三重塔屋根」の応急修理で:リノベ
735年に聖武天皇の勅願によって行基が開創されたと伝えられる茨城県桜川市富谷の富谷観音小山寺で、10年後に予定されている屋根の葺き替え工事までの風や台風の被害を抑える応急修理を目的としたクラウドファンディングを募っている。支援金は足場や平板杉材の差し替え、銅板養生、枝払いなどに用い、リターンは礼状や芳名版への刻銘、三重塔参拝券などを予定している。
茨城県桜川市の小山寺は2022年12月28日、国指定重要文化財三重塔屋根の応急修理を行う富谷観音小山寺にて、10年後と想定される屋根の葺き替え工事まで被害を抑えることを目的としたクラウドファンディングを2022年12月から「READYFOR」で開始している。期間は2023年2月13日23時まで。
支援金は三重の屋根まで約12mの足場や屋根部の応急修理に
小山寺は施無畏山宝樹院小山寺と称し、天平七(735)年に聖武天皇の勅願によって行基が開創。自作の丈六鉈彫十一面観世音菩薩像を刻み、本尊仏とした。堂塔伽藍の造営にあたっては、行基が大和の国から数百の工人を率い、山に分け入って工事を行い、寺号を施無畏山宝樹院長福禅寺と名付けた。その後、慈覚大師が東北遊化の際、大師自刻の不動明王と多門天を脇侍として七堂伽藍を整えたと伝えられている。
また、平安末期である久寿二(1155)年から暦仁元(1238)年にかけ、この地方を支配していた下野国の小山下野守朝政が外護し、その際に長福禅寺から小山寺に名称を改めた。
その後、応仁の乱では寺も荒れ、各種の記録や宝物も紛失したが、結城氏や多賀谷氏、大野氏が改修に努め、特に室町時代には多賀谷氏が三重塔を再建立し、江戸時代に本堂、仁王門、鐘楼も再建され堂塔伽藍が整えられた。三重塔は、寛正6(1465)年に下妻城主多賀谷朝経が大檀那となり、大工宗阿弥家吉とその嫡子左衛門太良らによって再建。その後、昭和63(1988)年から3年の歳月をかけ創建当時の姿に復元された。
屋根は栩葺き、いわゆる木の板でできており、修復されてから三十数年が経過したことや、老朽化や長年の風雨、樹木の影響による被害などにより、雨漏りや被害を抑える必要があった。
さらに国の重要文化財であるため、国に屋根の葺き替え工事の申請をしているものの、修理が終わるのは10年後になる可能性がある。また、今回の応急修理では国から補助金の支給を受けることは難しいのに加えて屋根の傷みも広がってきており、風が強い日や台風の後などには屋根の破片が地面に落ちるなどの応急修理を行わなければならない。しかし葺き替え工事が予定される10年後まで放置できる状態ではないため、クラウドファンディングを利用するに至った。
支援金は三重の屋根までの約12メートルの足場や平板杉材の差し替え、銅板養生、清掃、枝払いなどに用いる。
リターンでは礼状、家内安全祈願の他、坐禅止観会、写経会の一方の一家族無料体験、芳名版への刻銘、国指定重要文化財三重塔参拝券などを予定している。なお、リターンの項目は金額によって異なる。
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