「旧九段会館」を復元した複合施設が開業、東急不動産が復元技術を内覧会で紹介:プロジェクト(1/7 ページ)
東急不動産は、鹿島建設とともに、東京都千代田区九段南一丁目で、登録有形文化財である旧九段会館を一部保存しながら建て替え、完成した複合施設「九段会館テラス」を2022年10月1日に開業した。
東急不動産は、鹿島建設とともに、東京都千代田区九段南一丁目で開発を進めていた複合施設「九段会館テラス」が2022年7月29日に竣工したことを同年9月8日に発表した。同日には、九段会館テラスの開業に向けたメディア説明会と内覧会を開いた。
会場では、東急不動産 取締役 取締役 常務執行役員 都市事業ユニット長 榎戸明子氏や同社 都市事業ユニット 開発企画本部 開発第一部 統括部長 入谷宏一氏が、九段会館テラスについて紹介した。その後、九段会館テラスの内覧会を行った。
コンセントは「水辺に咲くレトロモダン」
東急不動産の榎戸氏は、「九段会館テラスは、旧九段会館の一部を保存しながら建て替えた建物で、2019年に着工し、開発中にコロナ禍を迎えたため、現場や施設内で新型コロナウイルス感染症対策を講じた他、“来る意味があるオフィス”を目指し、入居するテナントの従業員が健康管理を行えるクリニックや健康家具などを建物内に備えた」とあいさつした。
東急不動産の入谷氏は、「九段会館テラスは、地上5階建ての保存棟と地上17階建てのオフィスビルである新築部分で構成され、建て替えにあたっては、“水辺に咲くレトロモダン”をコンセプトに掲げ、新築部分にレトロな要素を採用し、保存部分との一体感を演出している。旧九段会館の保存では、収集した資料を基に、創建当時の外装と内装を残すとともに、破損していた部分の再現と耐震補強工事も実施した」と述べた。
続けて、「一例を挙げると、旧九段会館の屋根で使用されていた屋根瓦は全て色合いが異なり、独特の雰囲気を醸し出していたことを踏まえて、装着されていた約2万8000枚の瓦における状態を確認した上で、建て替えにより張り替える瓦のうち約半数は既存の瓦を転用し、残りの部分は特別に製造したものを取り付けている。新たに作った瓦は、ムラを出すためにあえて古い窯を活用して、復元前の“織部色”を再現すべく、瓦職人とともに釉薬(うわぐすり)の配合比率を変えながら、40枚以上の試作を繰り返し、その中から4色の瓦を採用した」と補足した。
なお、九段会館テラスという名称には、近接する「北の丸公園」の緑を借景する“テラス”や旧九段会館を再度“照らす”という意味を込めた。
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