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PLATEAUとアルテアのCFD解析で都市の気温上昇をシミュレーション、気候変動予測の先端研究:ATC Japan 2023(3/3 ページ)
ここ数年、日本でも連続した台風の到来や集中豪雨、気温上昇など、気候変動の影響が目立ってきている。東京大学大学院 工学系研究科の特任研究員 博士の山崎潤也氏は、国土交通省が進めるeD都市モデルのオープンデータ「PLATEAU」を活用して、将来の気温予測に取り組んでいる。
シミュレーションでは、時間帯による太陽の位置や風速などのパラメータが自由に設定可能だ。また、表面温度、地上1.1メートルの気温、温度上昇による風の流れの変化などさまざまな解析結果が得られる。
また、温熱環境の変化も予測可能で、気温の上昇によって、街の温熱環境も今後は過酷になると分かる。
大規模ビルが建ち並ぶ名古屋市に対し、西東京市には多くの農地が残っており、郊外のために、一般の住宅が多い違いがある。
西東京市では、駐車場や畑といった広い土地やスペースがあるため、風の流れが良いこ。ただ、高いビルがないために、駐車場には日光が直接あたり、地表の温度が上昇してしまう。農地にも日光は当たるが、駐車場ほどは温度が上がらない。山崎氏は、「中長期的に考え、農地を残していくことが気候変動適応の観点からも重要」と結論付けた。
現在、山崎氏はこうした解析結果を自治体や街づくり関係者と共有しながら、具体化できるか、社会実装していくための道筋を検討している。
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