西松建設の山岳トンネル工事で、計測用装置の自動運転を実現:スマートコンストラクション
西松建設とアラヤは、センサーやカメラ画像を基に、自己位置推定とマップを同時に作成するSLAM技術を活用して、山岳トンネル工事で計測用装置「Tunnel RemOS-Meas.」の自動運転を実現した。
西松建設はアラヤと共同で、出来形計測などの切羽近傍の計測作業を遠隔化する計測用装置「Tunnel RemOS-Meas.(トンネルリモスメジャー)」の自動運転を実現した。西松建設では山岳トンネル施工の切羽作業の無人化を実現すべく、各種建設機械の遠隔化/自動化技術「Tunnel RemOS(トンネルリモス)」の構築を進めており、Tunnel RemOS-Meas.はその要素技術の1つ。
SLAMで駐機場所と切羽の間の装置の移動を自動化
山岳トンネルの施工では、切羽の岩盤崩落に対する安全性向上や労働力不足に対する生産性向上が課題となっており、特に切羽付近への人の立ち入りを不要とする切羽作業の建設機械の遠隔化や自動化が求められている。
西松建設は、AIやSLAMなどの制御による自動化技術の開発に着手し、第一歩として、Tunnel RemOS-Meas.の現場試行を行った。
Tunnel RemOS-Meas.は、カメラによる切羽写真の撮影やスキャナーによる出来形計測といった切羽近傍での計測作業を遠隔化するため、西松建設とジオマシンエンジニアリングが開発した装置。距離センサーやカメラで取得したデータを基に、自己位置の推定(Localization)と地図の作成(Mapping)を同時に(Simultaneous)行う「SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)」技術を用いているため、駐機場所から切羽までの装置の移動が自動化され、これまでのタブレットによる遠隔操作すらも不要となる。
計測用の装置には複数のLiDARやカメラ、制御用PCを搭載。LiDARで取得したトンネル壁面や周辺環境の点群データを基に、制御用PC内のSLAMソフトで自己位置を推定し、側壁と一定の距離を保ちながら駐機場所と切羽の間を自動運転する。
また、周囲の建設機械や人、切羽も検知し、衝突の危険性を察知して停止または回避する。駐機場所では、事前に設置したARマーカーをカメラで視認し、駐機または出発。なお、装置の走行や計測作業はタブレットを用いた遠隔操作とし、画面上で設定を切り替えて自動運転する仕組みだ。
Tunnel RemOS-Meas.の導入により、切羽写真の撮影などの日常的な計測作業で自動運転が可能になったことで、装置の移動操作がとなり、生産性の向上につながる。
今後は、開発した自動化技術を改良していくとともに、切羽における計測作業全般の自動化を目指す。同時に、Tunnel RemOSの他の要素技術の自動化も進め、切羽作業の無人化を実現させる。
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