西松建設とジオマシン、山岳トンネル油圧ショベルの無線遠隔操作システム:山岳トンネル工事
西松建設とジオマシンエンジニアリングは、山岳トンネル施工に用いる油圧ショベルの無線遠隔操作システム「Tunnel RemOS-Excavator」を開発した。油圧ブレーカーの走行や切羽でのコソク、あたり取りといった作業を無線で遠隔操作できる。
西松建設は2023年1月10日、ジオマシンエンジニアリングと共同で、山岳トンネル施工に用いる油圧ショベルの無線遠隔操作システム「Tunnel RemOS-Excavator」を開発したと発表した。
同システムにより、油圧ブレーカーの走行や切羽でのコソク、あたり取りといった作業を無線で遠隔操作できる。西松建設は今回、現場にて一連の遠隔操作を実証確認した。
遠隔操作室には、操作用のレバーを搭載したコクピットや、映像を映すためのモニターを設置。切羽近くの映像や音、振動を感じながら、実機に似た感覚で油圧ブレーカーを遠隔操作できる。
切羽作業に合わせて設定を切り替えられるため、同じ設備を用いて他の重機を遠隔操作することも可能。また、重機メーカーを問わず後付けできる。
油圧ブレーカーには、機体の周囲、切羽を映すための複数のフルHDカメラや機体制御盤を内蔵した。遠隔操作室から受信した操作信号や機体側で取得した各種データは、坑内と機体に設置した無線通信設備を介して伝送される。
切羽あたり取り時のガイダンスシステム「切羽掘削形状モニタリングシステム」も備えた。切羽の掘削形状を重機に備えた3Dスキャナーで計測し、掘削形状の点群データや設計断面を比較、重機キャビン内のモニターに設計断面線よりも内空側に残ったあたり箇所をヒートマップで表示できる。
遠隔操作により、飛び石や切羽崩落による人的被害の防止など、安全性の向上や作業環境の改善が期待できる。
同システムは、西松建設が開発中の山岳トンネル無人化施工システム「Tunnel RemOS」の取り組みの1つとなっている。同社は、各技術の実証試験を2023年度までに完了させる計画で、2027年度までの実用化を目指す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 自由断面掘削機の遠隔操作システムを開発、西松建設
西松建設は、ジオマシンエンジニアリングと共同で、山岳トンネル無人化施工技術の1つである自由断面掘削機の遠隔操作システム「Tunnel RemOS - RH」を開発し、実証実験で無人運転時の動作や操作性、安全性を確認した。今後は、Tunnel RemOS - RHの現場試行を継続しながら改良を加え、早期実用化を目指す。 - ドリルジャンボの施工動作を西松建設が無人化
西松建設は、山岳トンネル施工重機の遠隔操作技術・自動化技術を組み合わせた山岳トンネル無人化施工システム「Tunnel RemOS」の要素技術として、ドリルジャンボの施工動作を無人化する「Tunnel RemOS-Jumbo」を開発した。Tunnel RemOSに関しては、2023年度までに各技術の実証試験を完了し、2027年度までの実用化を目指している。 - ホイールローダー遠隔操作システムを開発、実作業に近い操作を再現
西松建設は、山岳トンネル工事で使用するホイールローダーの遠隔操作システムを開発した。新システムは、オペレーターが車体に設置した複数のカメラ映像を見ながら、坑内のずり運搬作業を遠隔で操作する。今回の開発を足掛かりに今後は、トンネル工事全体の無人化施工を目指し、遠隔操作の技術を掘削に使う他の重機にも応用していくという。 - 運転席でリアルタイムにトンネル周辺地山の性状を確認可能な新システム、西松建設
西松建設は、ドリルジャンボの切羽前方探査システム「DRISS」向けに、地山評価の作業を自動化し、施工重機の運転席でリアルタイムにトンネル周辺地山の性状を確かめられる「DRISS-3D_Monitor」をジオマシンエンジニアリングとともに開発した。DRISS-3D_Monitorは、作業員の“感覚知”や“経験知”であった詳細な地山性状を、穿孔したその場で3次元的に“見える化”することによって、現場、関連部署、客先などにスムーズな情報共有を実現し、施工への迅速な反映が可能となっている。