きんでんと日立、IoTグローブとLumadaで送電ケーブル接続技能者の“暗黙知”を技能承継:技能継承
きんでんと日立製作所は、77kV送電ケーブルにおけるケーブルジョインターの早期育成をサポートするソリューションの試行運用を開始した。センサー付きグローブを手に装着することで、動作データを収集して数値化する。
きんでんと日立製作所は2023年10月25日、77キロボルト(kV)送電ケーブルでケーブルジョインター(接続技能者)早期育成ソリューションの試行運用を開始したと発表した。
センサーグローブ「FREEDi」と目線カメラで熟練者の動作と目線をデータ化
具体的には、77kV送電ケーブルの中間接続箱組立作業工程で、外部半導電層や絶縁層をガラス片で切削し、ケーブル表面を鏡面状に加工する技能を対象としている。
育成ソリューションでは、技能研修中の訓練生が日立製作所開発のセンサー付きグローブ「FREEDi」を手に装着。ヘルメットに取り付ける目線カメラや固定カメラとともに、動作データを収集して数値化し、日立製作所のLumadaと組み合わせて開発したアルゴリズムで、複数の技能検知項目を抽出して、熟練技能者と訓練生のデータを比較して解析する。
比較に用いる技能検知項目は、グローブに内蔵された圧力センサー、マイク、慣性センサーから得られる動作データで、手の動きを定量化し、個人の技能状況、仕上がり品質に直結する検知モデル(特徴量)10項目を導き出した。
解析結果からは、切削状況の映像と同期した複数の検知項目について、改善するべき動作のポイント、技能の定量的評価、改善方法を提示。そのため、短期間で効率良く技能を習得するだけでなく、作業の標準化や品質の安定化につながる。
2021年4月から、きんでんの電力支社送電工事部の技能実習でソリューションの共同実証を行い、熟練の技能者から訓練生まで20人(2023年9月末時点)の技能データを用いて定量的な技能評価(スコア化)や改善すべき動作の可視化ができることを確認した。加えて、訓練生の自己訓練に注力し、そのデータや分析結果をクラウド上に格納し、遠隔地の熟練技能者と同じデータを共有しながら指導を仰ぐ試みもスタートしている。
近年、ケーブル更新工事や再生可能エネルギー関連工事が増加しており、ケーブルジョインターの不足が懸念されている。 一方で、訓練生がスキルを習得するには数年の歳月を要するため、短期間で効率的な技能の習得方法が求められていた。
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