パナソニック LS社がASEAN地域で仕掛ける電設資材事業戦略、要はタイ工場:パナソニックが考える「2020以降の街づくり」(1/3 ページ)
パナソニック ライフソリューションズ社は、タイ・アユタヤの工場「Panasonic Manufacturing Ayuthaya」を基点に、ASEAN地域で電設資材の販路拡大と、製造体制の強化を図っている。
パナソニック ライフソリューションズ社は2020年2月6日、タイ・アユタヤの工場「Panasonic Manufacturing Ayuthaya」で見学会を開催した。
2030年度までに電設資材事業で売上4000億円目指す
まず、パナソニック ライフソリューションズ社 エナジーシステム事業部 パワー機器ビジネスユニット 事業企画部 部長 板部一成氏は、電設資材事業について紹介した。
エナジーシステム事業部 パワー機器ビジネスユニットは、配線器具や電路機器、配管機材を主力商品として展開している。配線器具は、日本の三重県にある津工場をマザー工場として、世界8カ国に点在する工場で、市場やエリア特性に応じた商品を製造。津工場は、商品設計や工法設計などの5部門が一体となり、スピーディーな商品創出を行う「五設一体思想」を掲げており、金属の成型加工や組み立て、検査を一貫で進められる製造ラインを構築している。24時間生産体制で、年間8500万個の配線器具を作り出している。「津工場で培われたノウハウと技術は、Panasonic Manufacturing Ayuthayaなどの電設資材を製造する海外工場で、技能人材の育成や製造能力の向上などに役立てられている」(板部氏)。
同社が製造した配線器具は、アジアを中心に世界60カ国以上で販売されている。板部氏は、「日本、韓国、台湾、フィリピン、ベトナム、インドネシア、タイ、インド、トルコの市場で、シェア1位を獲得している」と話す。
今後、配線器具事業は、ASEAN地域で、マーケティング機能を強化するとともに、新商品の投入サイクルを加速し、2030年までに、同エリア内で売上280億円を目指す。目標を達成するために、ASEANのマザー拠点はタイのアユタヤ工場に設定し、タイ国内向けだけなく、フィリピンと中近東向けの商品開発や製造、供給もより強めていく。また、ベトナム工場は、ベトナム国内だけでなく、ラオスやカンボジアといった新市場向け商品の製造に取り組み、インドネシア工場は地方都市への販売ルートを開拓する。
さらに、インドや南アジア、中東、アフリカで構成されるISAMEA地域では、トルコ工場を拠点とし、欧州や中東、アフリカ、ロシア、CIS(独立国家共同体)に販路を広げる。加えて、インド工場は、Bs(イギリス)タイプ配線器具をアフリカやASEANに訴求する。配線器具を含めた電設資材事業の計画では、2030年度までに売上を4000億円にし、海外比率を75%まで高めることをゴールに据えている。
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