成田空港にANA最大の貨物上屋となる「第8貨物ビル」新設 2024年10月供用開始:プロジェクト
成田空港の貨物ターミナル地区に、ANA最大の貨物上屋約3.8万平方メートルとなる「第8貨物ビル」を2024年10月の供用開始を目指し、新設することが明らかになった。
成田国際空港(NAA)は2023年9月20日、成田空港の貨物ターミナル地区に、全日本空輸(ANA)最大の貨物上屋を備える「第8貨物ビル」を新設すると発表した。既に、環境に配慮した設計で、「ZEB Oriented」認証を取得している。
分散化された上屋を集約し、貨物受け渡しを一元化
第8貨物ビルは、成田空港貨物施設の分散や狭隘化の対策として建設。貨物ビルの規模は、鉄骨造2階建て、延べ床面積約6.1万平方メートル(上屋面積は約3.8万平方メートル)で、ANAはNAAより建物を借用し、自社で運用する最大規模の貨物上屋として、2024年10月から供用を開始する。
ANAはこれまで、成田空港内6カ所の貨物上屋を活用し、貨物輸送の需要に応えてきた。今後のさらなる需要に対応するべく、隣接する既存の第7貨物ビルと第8貨物ビルの2カ所にANA貨物上屋を集約することで、ハンドリング体制の効率化や十分なスペース確保を図り、貨物取り扱いの品質向上を目指す。
分散化された上屋を集約することで、顧客との貨物の受け渡しが1つの上屋だけで完結するようになる。また、三国間貨物の発着作業を同一上屋で行うことが可能となり、接続時間を短縮し、アジア=北米間の三国間需要の利便性向上を図る。
上屋内では、自動搬送車(AGV:Automated Guide Vehicle)の導入で、貨物の搬送や蔵置作業を自動化する。
上屋内設備は、医薬品や生鮮品などの温度管理が必要な輸送に対応するため、温度管理施設を拡充する。ANAは、2017年に国際品質認証「CEIV Pharma」、2023年に「CEIV Fresh」認証を取得。CEIV認証規格に準拠した設備の完備で、高品質なサービスを提供する。加えて、動物庫や貴重品庫も広げ、幅広い輸送ニーズに対応する。
上屋内には一連の貨物ハンドリングを行う自動ULDラックを設置し、上屋空間を有効活用して、貨物の保管スペースを確保するとともに、ULDの搬送や蔵置を自動化して、オペレーション品質と省人化を両立させる
「ZEB Oriented」認証を取得済み、太陽光発電システムの導入で「創エネ」も
NAAは、2021年に「サステナブル NRT2050」を策定し、2050年度までに成田空港から排出されるCO2を50%削減(2015年度比)することを目標に掲げる。脱炭素化推進の取り組みの1つとして、建物の新築時にはBELSに基づき、ZEB化を目指し、第8貨物ビルは高効率の空調設備や断熱性能の高い建材の採用などで、「ZEB Oriented」認証を2023年7月28日付で取得している。運用時には、太陽光発電システムの導入による「創エネ」も検討している。
また、周辺整備では、第8貨物ビルの供用に合わせ、近接する場所に貨物ターミナル地区にダイレクトにアクセスできる貨物ゲートを新設し、第8貨物ビルへの容易なアクセスも計画している。
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