映像制作からインフラ点検など産業用途の新たなフィールドへ ソニー製ドローン「Airpeak S1」の新機能:Japan Drone 2023(3/3 ページ)
新しいジンバルとバッテリー、GNSS-RTKキット、小型かつ高性能のLiDARセンサーがそろったソニーのプロフェッショナル向けドローン機体「Airpeak S1」。ソニーの強みでもあるデジタル一眼αシリーズなど映像機器と合わせ、産業用途でのシェア拡大を狙う。
FLIGHTS SCANに搭載されているIMU(慣性計測装置)は、慣性システム開発で20年以上の実績を持つ米Inertial Labsと共同で開発。国土地理院の「作業規程の準則」に記載されている各種基準を満たす性能を備え、レーザー走査角標準値の±45度をクリアした360度全方位型レーザーを実装している。
他にも、FLIGHTSの担当者は、「測量データはUSBでフライト直後でもすぐにデータを移せる手軽さや同程度のスペックのLiDARセンサーよりも低価格なこともアピールポイント」とPRする。
揺るがない映像撮影の優位性で、産業用途での利用拡大を狙う
産業用に特化したドローンは、DJIのMatrice 300 RTKなど、先行する機体がまだ少なくない。この点に関してソニーの製品紹介担当者は、Airpeak S1には「後発であっても、写真撮影の部分では他社にない強みがある」と強調する。
「Airpeak S1にαシリーズを搭載できることは、大きなポイント。例えばα7Rを搭載し、50ミリレンズを使用すれば、対象物から約13メートル離れた場所でも、撮影分解能1ミリ/ピクセルの画像を撮影。橋梁(きょうりょう)や風力発電のブレード近くなど、簡単に近づけない場所でも、離れた所で安全を確保しながら、高精度の点検を実施できる」
ソニーの強みとなっている映像撮影の生かしながら、軽量化されたジンバル、高容量化したバッテリー、高精度なRTKキット、そして高性能かつ低価格のLiDARセンサーという新たな"武器"を身に付けたAirpeak S1。後方から巻き返しを狙うフライトが、いま始まる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 維持管理:ウェザーニューズとオムロンが小型気象IoTセンサーを共同開発 局所的な現場の天候をリアルタイム観測で“減災”へ
ウェザーニューズとオムロンは、狭小な現場でも設置しやすい小型の気象IoTセンサー「ソラテナPro」を共同で開発した。高性能のIoTセンサーで現地の気象をリアルタイムで可視化し、建設現場の安全対策などに役立てられる。 - Japan Drone 2023:建設現場の自動巡回からLTE上空利用まで、キャリアの強みで“レベル4解禁”の利用拡大に応えるドコモビジネス
ドコモグループの法人事業ブランド「ドコモビジネス(docomo business)」は、「Japan Drone 2023|第8回」の展示ブースで、建設をはじめ、農業、物流などの用途で社会実装を進める多様なソリューションを紹介した。 - Japan Drone 2023:人型ロボットとドローンの一体型点検と、“蜂の巣”のような防水自動飛行システムを提案するJIW
ジャパン・インフラ・ウェイマークは、2019年4月にNTT西日本100%子会社として設立したドローンによるインフラ点検を主事業とする企業。NTT西日本グループが培ってきた設備管理の実績をもとに、少子高齢化による人手不足と老朽化するインフラの維持管理の課題解決に取り組み、これまでに橋梁、鉄塔、法面、プラントなど、さまざまなインフラ点検で実績を重ねてきた。 - ドローン:KDDIスマートドローンと飛島建設が“不感地帯”のドローン点検を実証 デジタルデバイドを「Starlink」で解消
KDDIスマートドローンと飛島建設は、無線電波が届かない山間部の建設現場で、自動給電が可能な米Skydioのドローン基地「Skydio Dock」と、衛星ブロードバンドインターネット「Starlink」を活用し、遠隔のドローン点検/巡回を検証した。 - ドローン:ゼンリンデータコムと三井E&Sが“ドローン飛行から撮影までを自動化”するPCアプリ開発 2023年度中に提供開始
ゼンリンデータコムと三井E&Sは「誰でも、手軽に、高品質で」を掲げ、ドローンを用いたインフラなどの設備点検や巡視を対象に、飛行から撮影まで自動で行うアプリ「ドローンスナップ」の開発に乗り出した。 - ドローン:Skydioが“遠隔操作による目視外飛行の飛行許可”を取得、全国で補助者なしの遠隔飛行が可能に
AIによる自律飛行が特長の米ドローンメーカーSkydioは、同社の機体とソフトウェアに関して、無人航空機の飛行「カテゴリーII」で「無人航空機の飛行に関する許可・承認」を得た。