鹿島、ケーソン沈設時の挙動を光ファイバーで見える化するシステム
鹿島建設はニューブレクスと共同で、ケーソン沈設時に起きるケーソンのひずみを、光ファイバーで高精度かつリアルタイムにモニタリングする管理システムを開発した。沈設時のトラブルを事前に検知し、高品質で周辺環境に優しい施工を実現する。
鹿島建設は、ニューブレクスと共同で、ケーソン構築工事において沈設時に起きるケーソンのひずみを、光ファイバーで高精度かつリアルタイムにモニタリングする管理システムを開発した。沈設時のトラブルを事前に検知し、高品質で周辺環境に優しい施工を実現する。また、同システムを立坑工事に適用し、その有効性を確認した。
ケーソン工法では、ケーソン沈設の際、地盤との摩擦によりケーソンのひび割れの恐れがあると滑剤を注入して対応する。従来、その位置特定やタイミングは作業員の経験に頼っており、注入時にはケーソン自体の破損、振動による周辺環境への悪影響などのリスクがあった。
同システムでは、ケーソンの側壁全体に敷設した光ファイバーケーブルを、新たに開発したレイリー計測式光アナライザで計測することで、光ファイバーに生じる1マイクロ以下の微小なひずみを、数センチメートル単位のピッチで瞬時に特定することが可能である。アナライザ1台で、複数の光ファイバーを計測できる。光ファイバー1本当たりの計測時間は、従来手法は5分以上かかっていたところ、同システムを採用することで約5秒に短縮できたという。また、閾(しきい)値を超えるひずみを検出した際は警告を表示し、計測結果を即時にクラウド上に反映することで、ケーソン操作室や遠隔地でも常に最新のデータを共有・確認できる。
鹿島建設が行った本システムを適用した工事において、2020年2〜5月の間で、内径約17.8メートルのケーソン内側の鉛直方向に光ファイバを8測線敷設し、ケーソンの挙動を常時計測。表面ひずみを高精度かつ即時にモニタリングできることを確認。また、摩擦を示唆するひずみを検出した際は、滑剤の注入により引張ひずみの低減が認められ、トラブルの予兆を検知するシステムとしての有効性も確認している。
今後は、光ファイバを構造物内に残置し維持管理のモニタリングに利用するなど、多様なフェーズでの光ファイバセンシングの活用が目指される。
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