建設RXコンソーシアム、ウェアラブルデバイスで熱中症対策の実証実験を開始:産業動向
建設RXコンソーシアムの市販ツール活用分科会/バイタルセンサーWGは、ウェラブルデバイスで熱中症を効率的に防ぐ実証実験を開始した。
建設RXコンソーシアムは2023年7月24日、コンソーシアム内の市販ツール活用分科会/バイタルセンサーワーキンググループ(WG)の取り組みで、シャープとともに、ウェラブルデバイスを活用して、熱中症リスクを効率よく下げるための実証実験を開始したと発表した。
熱中対策ウォッチ「カナリア」とシャープの適温蓄冷材で熱中症をあらかじめ防ぐ
実証実験の目的は、建設現場での安全性の担保と作業時間の確保を両立するために、熱中症リスクを見える化することで、適切な休憩ルールの有効性を検証することを目的に行う。
期間は2023年7〜8月の2カ月間で、安藤・間、鉄建建設、前田建設工業、日立造船とともに、首都圏8現場と、その他の地域3現場が対象となる。
実証内容は、Biodata Bank製の熱中対策ウォッチ「カナリア」を着用し、シャープの融点10℃の適温蓄冷材を活用した「プレクーリング」を実践運用する。深部体温が上昇した場合はアラームが鳴り、休憩や適温蓄冷材/アイススラリーを使用したクーリングを行い、終了後に回収してデータ分析するまでが一連の流れ。
プレクーリングとは、手のひらには体温を調整するAVA血管という特殊な血管があり、手のひらを冷やすことで、AVA血管を通る血液が冷やされ、冷えた血液が体内を巡り、深部体温の上昇を抑えられる効果のこと。
検証では、カナリアで取得したデータによる暑熱下のリスク分析や熱中症リスク低減効果のある手段の検討、適切な休憩ルールの設定などを確認する。
各社の役割は、Biodata Bankがウェアラブルデバイスの提供とデータの解析、建設RXコンソーシアムが総合的な運営、シャープが適温蓄冷材を提供する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 建設ICTで切り拓く、現場の安全衛生と生産性の向上(4):【第4回】建設現場の“酷暑”を乗り切れ 熱中症対策など安全衛生を支援する建設ICT
連載第4回は、年々厳しさが増す酷暑の中で、熱中症対策をはじめとする建設現場の安全衛生を確保する各種IoTデバイスについて解説します。 - 電子ブックレット(BUILT):PLAYBACK!「メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2022」安全対策編
ウェブサイトに掲載した記事を印刷しても読みやすいPDF形式の「電子ブックレット」にまとめました。無料のBUILT読者会員に登録することで、ダウンロードすることができます。今回のブックレットは、前回の「メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2022」で、現場の安全対策に関わる製品・サービスのまとめです。 - 新建材:大和ハウス、放射熱8割以上抑制で室内熱中症を防ぐ「低放射折板屋根」
大和ハウス工業は、室内の暑さの原因となる屋根の放射熱を一般的な折板屋根と比較して80%以上抑制する「低放射折板屋根」を開発した。2023年1月からは、36都府県で本格運用を開始した。 - BAS:長谷工ら3社、マンション専有部向け全館空調熱交換気システムを開発
長谷工コーポレーションら3社は共同で、マンション専有部向け全館空調熱交換気システム「withair CUBE」を開発した。ルームエアコン1台で住戸全体の空調管理し、加湿・空気清浄機能も完備した。 - 導入事例:工場向けの新たな置換空調方式、パッケージエアコンと比べ使用電力を約20%削減
三井住友建設は、大空間の下部作業空間を効率的に冷房する新たな置換空調方式を開発し、栃木県内の既存実験施設に適用した。今回の方式では、一般的な設備機器を利用し、配置がしやすく、短時間で取り付けられ、コスト削減も可能。また、床置型パッケージエアコンと置換空調用吹出口をダクトで接続してユニット化し、通常のパッケージエアコンによる冷房と比較しても使用電力量を約20%減らせ、自然対流(上昇気流)による高い換気効率を実現する他、通常の置換空調方式と比較して安価に導入できる。 - 現場管理:大阪ガスと大林組、施工管理を支援「建設工事向けAI気象予測サービス」開発着手
大阪ガスと大林組は、AI技術を用いた高精度な気象予測情報を建設現場で活用し、安全で効率的な施工管理を支援する「建設工事向けAI気象予測サービス」の開発に共同で着手した。2025年大阪・関西万博の開催予定地である「夢洲」にて実証実験を行う。