工場向けの新たな置換空調方式、パッケージエアコンと比べ使用電力を約20%削減:導入事例
三井住友建設は、大空間の下部作業空間を効率的に冷房する新たな置換空調方式を開発し、栃木県内の既存実験施設に適用した。今回の方式では、一般的な設備機器を利用し、配置がしやすく、短時間で取り付けられ、コスト削減も可能。また、床置型パッケージエアコンと置換空調用吹出口をダクトで接続してユニット化し、通常のパッケージエアコンによる冷房と比較しても使用電力量を約20%減らせ、自然対流(上昇気流)による高い換気効率を実現する他、通常の置換空調方式と比較して安価に導入できる。
三井住友建設は、工場向け暑熱対策エンジニアリング「Cool Factory」の展開で培ってきた実績と経験を生かし、大空間の下部作業空間を効率的に冷房する新たな置換空調方式を開発し、栃木県内の既存実験施設(床面積約400平方メートル、高さ12メートル)に適用したことを2022年11月24日に発表した。
自由度が高い配置に対応し、短工期で取り付け可能
工場や実験施設といった大空間では、夏季における下部作業空間の熱中症対策や品質管理などで、適切な温熱環境を維持することが求められている。しかし、空間の大きさや建物の構造、コスト面などから暑熱対策が困難な場合は、やむを得ず通常の大規模空調装置で空間全体を冷房しているケースがある。
上記のように大空間を冷房する方法としては、ダクト式空調の適用やパッケージエアコンの設置による直吹、あるいは冷風を当てる場所を限定するスポットクーラーの配置などが存在する。しかしながら、下部作業空間の冷房は難しい他、置換空調方式を用いる場合には、冷凍機やエアハンドリングユニット、ダクトなど、大規模な装置を設計・製作しなければならなかった。
そこで、三井住友建設は、大空間の下部作業空間を効率的に冷房する置換空調方式を開発した。新たな置換空調方式では、床置型パッケージエアコン(冷房能力50キロワット)と置換空調用吹出口を、吹出温度と風量の適切な組み合わせで設計し、自由度が高い配置に応じ、短工期で取り付けられる。
加えて、大空間の下部作業空間を効率的に冷房するため、通常のパッケージエアコンと比較して電気使用量を20%減らせる。さらに、パッケージエアコンに外気を導入し、作業などによって暖められた空気は自然対流(上昇気流)によって建物上部の開口部から排出するため、高い換気効率を実現し、感染症対策に貢献する。
既に、三井住友建設では、外気温が35度を超えた日に室内で、性能を検証している。その結果、空間の上部は35度以上だったが、床上3メートルまでの作業空間は27度以下に維持されていることを確認した。また、除湿された空気が下部に滞留し、暑さ指数が20.7度で、ほぼ熱中症の危険性がないことも分かった。
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