工事写真の7割は情報漏洩のリスク、「蔵衛門クラウド」がアクセス制限機能をアップデート:クラウド
ルクレは、クラウド現場共有アプリ「蔵衛門クラウド」に、クラウド上の工事写真へアクセスできるIPアドレスを制限できる機能を追加した。
ルクレは、現場共有アプリ「蔵衛門クラウド」のアクセス制限機能を2023年4月に公開した。管理者は、蔵衛門クラウド上の工事写真にアクセスできるIPアドレスを制限できるようになる。
建設業では物理的な保存場所がまだ7割を占め、機密情報の漏えいリスクが高い
経済産業省や国土交通省を中心に政府が推進する建設DXの政策に伴い、いまや建設工事における技術のデジタル化は日々加速している。それは工事写真も例外ではない。「電子小黒板」の公共工事での正式採用をはじめ、工事写真台帳の「電子納品」などが特別なことではなくなった。国土交通省による工事写真のSVGファイル形式認可の流れもあり、工事写真は単なる「記録」ではなく、工事の詳細が記録された「機密情報」となっている。
しかし、工事写真の保存先について、ルクレが全国の建設業503社に対してオンラインで調査を行したところ、作業するPC(内蔵HDD)、USBメモリやNAS(Network Attached Storage)を含む外付けHDDなどの物理的な保存場所が約7割を占めるという結果が出た。この傾向は企業の規模に関係なく、個人経営の零細企業から大手ゼネコンまで広く見られた。
PCやUSBメモリなどの物理的な場所への工事写真の保存は、盗難や紛失の可能性があり、故障時のデータ復旧も難しく大きなリスクがある。
大きなリスクがありながらも、クラウド導入をためらう理由として「クラウドは情報漏洩(ろうえい)の危険がありそう」という意見が多数。さらに、クラウドサービスに求めるセキュリティの要望のアンケート結果では、1位がIP制限、2位が利用者の多要素認証、3位が操作ログの結果だった。
こうした状況を受け、蔵衛門クラウドは今回のセキュリティ強化により、アクセスできるIPアドレスを制限する機能を追加。管理者が登録したIPアドレス以外のアクセスを拒否できるので、工事写真が外部にする危険性を効果的に回避する。「IP制限」に次いで要望の多い「利用者の多要素認証」については、蔵衛門クラウドも2023年度中に対応予定で、3番目に多かった「操作ログ」は戻出可能だという。
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