清水建設が設計・施工の河北総合病院移転工事で「ZEB Oriented」取得、パッシブ建築計画でエネ負荷削減:ZEB
清水建設は、杉並区で設計施工を進めている河北総合病院移転建設工事が「ZEB Oriented」の認証が取得したと明らかにした。急性期病院の認証取得は都内初で、全国でも3例目となる。
清水建設は、東京都杉並区阿佐谷北一丁目で設計施工を進めている河北総合病院移転建設工事について、日本建築センターから建築物省エネルギー性能表示制度にもとづき、「ZEB Oriented」の認証が付与されたと2023年4月に発表した。
新設する病院の規模は、RCST造一部鉄骨造で地上9階PH1階建て(駐車場RC造/鉄骨造、地下1階地上1階)、総建築面積は4766.60平方メートル、総延べ床面積3万2807.47平方メートル。2023年2月に着工し、竣工は2025年5月、開院は6月の予定。
パッシブ建築計画で建築自体のエネルギー負荷低減と高効率設備機器を導入
ZEB OrientedはZEBのランクのうち、4番目のカテゴリーで、対象は従来のZEB達成が難しいとされていた延べ床面積1万平方メートル以上の大規模建築。一次エネルギー消費量の削減基準は建物用途によって異なり、病院建築の場合は30%以上となっている。
清水建設は、2022年9月に河北総合病院移転建設工事を設計・施工一括で受注。規模は9階建て、延床面積3万2844平方メートルで、竣工は2025年5月の予定だ。大規模建築に加え、急性疾患または重症患者の治療を24時間体制で行うエネルギー消費量が多い急性期病院で、カーボンニュートラル社会の実現に寄与すべくZEB Orientedの認証取得を施主に提案した。その後、河北総合病院の協力を得て、「パッシブ建築計画による建築自体のエネルギー負荷低減、アクティブな高効率設備機器の導入徹底による負荷低減」をコンセプトに、ZEB化に取り組んだ。
計画の特徴は、敷地条件を最大限活用している点だ。まず、敷地形状を利用して熱負荷の少ない南と北に向けて病室を配置。敷地内の落葉樹の保存林を利用した日射制御も取り入れた。枝葉が繁(しげ)る夏季には、日射の遮蔽(しゃへい)、落葉する冬には日射を採り込む役割を担わせている。
また、設備計画として昼夜で異なる患者の代謝量や医療機器の運転状況に応じた換気量制御やLEDの標準採用、コージェネレーションシステムや業務用エコキュートの導入などにより省エネルギーを徹底した。
このような工夫や高効率の設備機器の選定の結果、一次エネルギー消費量を34%削減し、ZEB Orientedの認証基準を達成した。34%への貢献度はパッシブ建築計画・空調換気12%、照明14%、給湯3%、コージェネレーションシステム5%となっている。認証取得により、環境省の令和4(2022)年度ネット・ゼロ・エネルギー・ビル実証事業に採択されたため、補助金を得る見込みだ。省エネルギー効果により、CO2を毎年1260トン、ランニングコストを約3700万円削減できる見通しで、発注者に環境面とコスト面で大きなメリットをもたらす。
清水建設では引き続き、設計・施工の大規模建築についてZEB Orientedの認証取得に取り組み、日本政府のCO2削減目標やSDGsの達成に貢献していく。
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