「2024年問題に約7割が未対応と回答」建設現場の労働時間を調査:調査レポート(2/2 ページ)
ワークスモバイルジャパンは、建設現場で働く施工管理者や作業員など1031人に対して、建設現場の労働時間に関する実態を調査した。
事務所作業、紙ベース、電話対応などアナログの改善が急務
月の平均残業時間が45時間を超える人は、転職/離職傾向が34%と、残業時間が45時間を超えない人と比べて、約10ポイント高い。
2024年4月から適用される残業の上限規制について、「特に対応していない」という建設事業者は約7割(70%)。2023年に比べて8%改善しているものの、まだ建設現場での働き方改革は道半ばの状況にある。
施工管理者に現場の状況を聞いたところ、現場の写真を撮って、事務所に戻ってから整理している割合は57%と半数を超え、図面、報告書など紙での出力が多いと感じている割合も48%と半数近い結果に。また、3分の1以上が、「電話対応が多い」と感じ(40%)、対面形式での会議(38%)を実施している。
調査結果を受けての各社コメント
今回の調査について、ワークスモバイルジャパンの「LINE WORKS」を導入している第一建工、ビッグルーフ、ネクストフィールド 取締役 科部元浩氏はコメントを寄せている。
LINE WORKSは、チャットやスタンプ、掲示板、カレンダー、アドレス帳、アンケートなど、現場で活用できる充実したグループウェア機能をそろえたビジネスチャット。「LINE」のような使いやすさを保ちながら独自に開発・提供を行っており、ユーザーの教育も最小限に導入したその日から誰でもすぐに使える。
第一建工では、「いまだ7割の会社が対策できていないという結果は、”できていない”のではなく、”どうしていいか分からない”のが正直なところではないか。当社では、LINE WORKSを導入することで、現場で飛び交う情報共有を迅速に行う徹底を進めている。このスピード感が、手戻りや無駄をなくす大きなヒントとなる。今は主に社内外の商社とのやりとりで使用しているが、今後は協力会社など、社外との情報共有もより効率化できれば。また、各種専用アプリとの連動を図り、業務の効率化や作業工数の削減、時間外労働の削減につなげていきたい」とコメント。
ビッグルーフは、「当社は、(他社よりも)残業時間は短いが、月残業45時間以上で転職/離職率が高くなる結果に改めて、働き方改革を推進する部署では、さらに業務の効率化を推し進めていかなければならないと感じた。現場でも本社でも、ほぼ全ての業務でコミュニケーションの問題が発生しており、そのためにLINE WORKSを導入。半年が経過し、日々の連絡や調整に掛ける時間がメールに比べ大幅に効率化した。短文で要件を簡潔に伝えるチャットの性質上、時短になっただけでなく、“現場の意思決定が早くなった!”との社内の声も挙がっている」と話す。
飛島建設とNTT東日本、NTTが2022年に設立した建設DXのスタートアップ企業ネクストフィールドは、2024年問題への建設業の対応が十分ではないとして、「その原因は、旧態依然とした変化のない業務プロセスの運用にある。例えば、紙や表計算ソフトでの対応、リアル(口頭/電話)のみのコミュニケーションなどが代表的だ。紙や表計算ソフトによる対応は、インプット、アウトプット、集計、情報伝達に時間がかかり、その後の展開も非効率。リアルでのコミュニケーションは、関係性構築に重要だが、言った言わない、忘れる、後で内容を確認することができないなどの解釈の齟齬(そご)が発生しやすい。そこで、業務プロセスを変化させるためには、LINE WORKSの活用が最短であり効果的だと考える」と話す。
<調査概要>
調査時期:2023年3月27〜29日
調査対象:男女20〜69歳、建設業に従事する施工管理者や現場作業人/職
調査手法:インターネット調査
サンプル数:1031人(施工管理者501人、現場作業員/職人530人)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ロジスティクス:千葉・流山で大和ハウス最大の物流施設「DPL流山プロジェクト」が完成 東京ドーム15個分の延べ床面積
大和ハウス工業は、千葉県流山市で総延べ床面積73万7346平方メートルの計4棟の物流施設で構成する「DPL流山プロジェクト」の建設を進めており、このほど4棟目の「DPL流山II」が西松建設の施工で竣工したことで、プロジェクト全体が完成した。 - 省エネ:移動式住宅の実証実験に屋根と壁の一体型太陽光パネルを技術提供
モノクロームは、MUJI HOUSEが開始する「インフラゼロでも暮らせる家」の実証実験に参画する。モノクロームの屋根一体型太陽光パネル「Roof-1」を屋根と壁の一体型太陽光パネルとして技術提供する。 - 現場管理:現場アナログ業務の課題、報告書の電子化システムを望むもハードルも明らかに
シムトップスは、建設業におけるアナログ業務に関する課題について、2023年2月に建設業の現場監督109人に対してインターネット調査を実施。結果を公開した。 - 現場管理:前田建設工業がMODE IoTプラットフォームでダム施工現場のデータリアルタイム管理に成功
前田建設工業は、新潟県柏崎市の鵜川ダム建設工事で、施工状況をリアルタイムに把握すべく、MODE IoTプラットフォームを導入した。