進まぬ建設デジタル化の実態は「施工・専門工事」「施工管理」が過半数 野原HDが建設DXに対する意識調査:調査レポート(2/2 ページ)
野原ホールディングスは、建設業界従事者を対象に、建設DXに対する意識を独自に調査した。その結果、デジタル化が遅れている業務プロセスとして、「施工・専門工事」「施工管理」がトップ3に上がった。
「デジタル化できない作業が多い」が最多の回答
デジタル化による「生産性向上、業務効率化が進まない理由」(複数回答)の上位5位は、「デジタル化できない作業が多い」(52.8%)、「現場での変更が多くデータ更新が面倒」(29.9%)、「導入から運用までの煩雑さ」(23.8%)、「予算が確保できない」(22.1%)、「従来のやり方が一番早いと思っているから」(21.7%)。
2位「現場での変更が多くデータ更新が面倒(29.9%)」、5位「従来のやり方が一番早いと思っている(21.7%)」と圏外6位「ツールの使い方を覚えるのが面倒」については、「建設業界従事者の業界イメージ」調査のマイナスイメージ5位に「昔ながらの文化(20.1%)や慣習が多い」が上がっていたことも併せて考慮すると、建設業界従事者の一部には変化を望まない層もあるのではないかと推測される。
デジタル化による「生産性向上、業務効率化が進まない理由」(複数回答)で、2位「現場での変更が多くデータ更新が面倒(29.9%)」、5位「従来のやり方が一番早いと思っているから(21.7%)」を業種別にみると、建設ロボットの開発や生産性向上の手段の1つとして国が進めるBIMの旗振り役ともいえるゼネコンがどちらも3割超で上位に名を連ねている。
野原ホールディングス 野原グループCDO 山崎芳治氏は、「建設業界に従事する1000人の方々が、人手不足、高齢化による技術承継に対する危機感はあるものの、その解決策の1つとされているデジタル化が思うように進んでいないと感じていることは、とても残念。今回の調査結果からは、その理由が予算や煩雑さ(面倒さ)、これまでのやり方から抜けられないことにあるとされ、危機感を覚えた。今こそ、業界での意識変革を現場レベルまで含めて変えていく必要がある」と総評している。
<調査概要>
調査時期:2023年2月15日〜22日
調査対象:全国の建設業界従事者
調査手法:ゼネラルリサーチによるインターネット調査
有効回答数:1000人
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