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BuildAppを核に内装業界DXを目指す、野原HDの”施工BIM戦略”第7回 ジャパンビルド−建築の先端技術展−(1/2 ページ)

BIMで建設プロセスを一元的なプラットフォームで一気通貫につなぎ、既存の建設プロセス変革を目指す、建材商社の野原ホールディングス。「第2回 建設DX展」では現在、特に注力している「BuildApp内装」と「BuildApp建具」をデモを交えて紹介した。

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 建物の3次元モデルと属性情報で、設計から施工、維持管理までのプロセス全体をつなぎ、フロントローディングで建設生産プロセスの変革を促すBIM。国が本腰を上げた後押しもあり、ここ数年でゼネコンを設計事務所を中心に普及が加速しており、いまやBIMは建設業界の生産性向上に不可欠といっても過言ではない。そのBIMをより実践的に活用するサービス開発に挑んでいるのが、建材商社の野原ホールディングスだ。

 野原ホールディングスは、「BIMを起点としたデータで建設の全プロセスと関わる事業者をつなぐ」をコンセプトに、設計から、積算、生産、流通、施工管理、維持管理までを一気通貫で管理できるプラットフォーム「BuildApp」の構築を進めている。

 「第7回 ジャパンビルド−建築の先端技術展−」(会期:2022年12月5〜7日、東京ビッグサイト)の同時開催展示会の1つ、「第2回 建設DX展」では、BuildAppを紹介。さらにBuildAppの各サービスのうち、2022年9月末に開催された「第2回 [関西]建設DX展」(2022年9月29日〜10月1日、インテックス大阪)で反響の大きかった内装工事にフォーカスした「BuildApp内装」と「BuildApp建具」をデモンストレーションした。

正確な積算とBIM連動のプレカット施工を実現する「BuildApp内装」

野原ホールディングスの展示ブース
野原ホールディングスの展示ブース

 BuildApp内装は、BIM積算とプレカット工場とのデータ連携を支援するサービス。「BIMデータから、軽量鉄骨(LGS)の本数や石こうボードの枚数など、この部材がどの程度あれば工事を進められるか分かるレベルまで、半自動で拾い出し、詳細化できる」(野原ホールディングス担当者)。プロジェクトでは、工区が細分化されるが、BuildApp内装では工区ごとに部材の数量や金額の積算が可能で、担当する施工会社は自社に関係する見積もりを容易に確認できる。

「BuildApp」が実現する世界
「BuildApp」が実現する世界

 また、BuildApp内装には、BIMデータ上の属性情報から、部材ごとの長さや幅、高さなどの生産情報を抽出し、QR識別コードを持ったデータとして書き出す機能も実装されている。抽出した生産情報をプレカット工場とダイレクトに共有すれば、建材完成までに交わすやりとりの手間削減や製作期間の短縮化、今まで以上に精密なプレカット加工が実現する。

部材に貼付されたQR識別コードのイメージ
部材に貼付されたQR識別コードのイメージ

 製造した建材は、QR識別コードを貼付して、梱包単位や部材単位でトレーサビリティーを管理することで、建設工程の各段階に合わせて必要な時間や場所へ納品が可能になる。QRコードからは、建材の使用箇所や割付図も確認できるので、現場の職人がその建材をどこでどのように使用するかに悩むこともなくなる。

 担当者は、「現場の職人がBIMソフトを使いこなすというシーンは現実的ではない。BIMデータから必要な情報を抽出し、使いやすい形に処理を施して、スマートフォンなどで手軽に確認できるようにすることで、生産性向上につなげられる」とサービスの強みを力説した。

 2022年7月に野原ホールディングスと東急建設は、BuildApp内装も含めた効果実証「増築工事における、BIMモデル活用による生産性向上の検証」を実施したと発表。両社によると、「BuildApp内装」を使用することで現場の生産性が、従来工法と比べて最大50%向上、正確な積算による無駄の排除でCO2排出量も40%削減したとのことだ。

 現在は、数社のゼネコンと共同で、BuildApp内装の実証を進めている。2024年度のサービス開始を目標に定め、「サービス提供価格も含めて、このサービスを利用することで、発注者にも、施工者にもメリットをもたらしたい」(ブース担当者)。

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