三井住友建設が導入した「鉄筋出来形自動検測システム」が機能拡充 電子納品などにも対応:現場管理(2/2 ページ)
鉄筋工事の出来形管理は、作業者に多大な負担がかかっている。日立ソリューションズが開発した「鉄筋出来形自動検測システム」は、写真撮影だけで計測から帳票の作成までが完了する画期的なソリューション。
2023年のバージョンアップで、電子納品にも対応
鉄筋出来形自動検測システムは、2023年に3つの機能を拡充した形でバージョンアップする。
その1つ電子納品対応では、計測データの保管や検索を含む管理面を効率化。納品のルールに沿った画像出力の機能が搭載され、具体的には、撮影した現場画像の上に電子黒板を重ねて配置し、計測結果のオーバーラップ表示が可能になる。さらに、その階層構造の画像をそのままファイルとして出力できる。
2点目は精度の向上だ。鉄筋出来形自動検測システムでは、撮影した画像から鉄筋部分を抽出する。新しいバージョンでは、その抽出や鉄筋径の自動計測に関する精度がアップしている。
さらに、現在の鉄筋出来形自動検測システムはインテルのRealSense(リアルセンス)カメラでの使用を前提としているが、対応するカメラも拡大する。日立ソリューションズで建築向けソリューションに携わる技師の齋藤卓磨氏は、「(RealSenseと)同価格帯の広角カメラで、対応機種の選定を進めている」と話す。
バージョンアップのうち、特に電子納品への対応はユーザー待望の機能追加といえる。従来は、出来形を検測して作成した帳票と、マーカーやロット、黒板などを入れて撮影した画像をそれぞれ個別に管理していた。
また、写真の分類や整理などにも、時間を要して残業が発生する要因になっていた。電子納品に対応した鉄筋出来形自動検測システムであれば、データ管理が写真管理ソフトと連携して行えるようになり、ユーザーの手間を減らせる。写真管理に関しては、他社の写真共有アプリとリンクすることで、さらに使い勝手がよくなる。例えば、事前に複数の電子黒板を作り、撮影した現場画像とひも付けて一元的に管理するような使い方だ。
日立ソリューションズでは、ルクレの画像共有ソリューション「蔵衛門(くらえもん)」と2023年度中にも連携し、電子納品も含め、鉄筋出来形自動検測のフローをトータルで効率化することを検討している。
ロックボルトの間隔測定にも応用可能
ちなみに、この鉄筋出来形自動検測システムは、トンネル工事でのコンクリート壁のロックボルトを対象にした間隔計測にも、応用利用されている。ロックボルトの間隔計測では、従来、転落事故のリスクがある高所作業車を使って、2人1組の作業が必要だった。検測システムを利用することで、作業車が要らなくなり、ワンオペの写真撮影だけで完結する。
齋藤氏は、「カメラの技術進歩もウォッチしながら、システムとしてどこまでサポートできるかを検討し、ロックボルトの計測以外にも適用範囲を広げていきたい」と語る。
鉄筋出来形自動検測システムは、西日本を中心にニーズが増えているという。日立ソリューションズでは、販売代理店などを通じ、エリアを広げながらサポートの充実を図っていく。
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