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三井住友建設が導入した「鉄筋出来形自動検測システム」が機能拡充 電子納品などにも対応現場管理(1/2 ページ)

鉄筋工事の出来形管理は、作業者に多大な負担がかかっている。日立ソリューションズが開発した「鉄筋出来形自動検測システム」は、写真撮影だけで計測から帳票の作成までが完了する画期的なソリューション。

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 日立ソリューションズは、「建設DX講座:ICTを活用した土木工事現場の生産性向上〜現場のプロが語る配筋検査とドローン測量による進捗管理〜」と題するWebセミナーを2023年1月に開催した。

 建築DXでは、画像データの取得をデジタル技術で効率化するのが1つのトレンドになっている。デジタル化すると、その後の管理や納品も容易になる。

 日立ソリューションズのセミナーでは、鉄筋工事の出来形情報をスピーディーかつ精度高く計測するシステムとドローンを使った施工管理システムの2種類を紹介した。本稿では、このうち「鉄筋出来形自動検測システム」にクローズアップして解説する。

低コストのリアルタイム鉄筋出来形検測で現場省力化

 日立ソリューションズは、建設業界を取り巻く数々の課題に対して、建設ICTで解決するソリューションを提供している。対象となる工程は、プロジェクト管理、施工・検査、安全衛生などで、鉄筋出来形自動検測システムは、このうち施工・検査のカテゴリーに分類されている。

 鉄筋出来形自動検測システムは、国土交通省の官民研究開発投資拡大プログラム「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」に採択され、三井住友建設と日立ソリューションズがコンソーシアムを組成して生まれた建設ICTツール。両社は、2018年から個別システムやソリューションを通じた連携を行っており、その延長線上で2019年から共同開発に着手した。

三井住友建設と日立ソリューションズは、2018年から各種のシステム構築で協創
三井住友建設と日立ソリューションズは、2018年から各種のシステム構築で協創

 工事現場での鉄筋の出来形管理は、必要な手続きでありながら、準備/片付け、立会いなどを含めて手間と時間がかかる業務となっている。鉄筋は、コンクリートの打設後は肉眼で見えなくなってしまうため、検査時の帳票や写真が重要となる。

 出来形検測は若い担当者に一任されるケースが多い。しかし、マーカーの貼り付けや黒板の用意、検測、その後の帳票作成など多くの作業が必要で、担当者の大きな負担になっている。鉄筋出来形自動検測システムは、こうした課題を一気に解決する。

 自動検測システムでは、配筋工事の現場を市販のデプスカメラを接続したAndroid OS搭載タブレットで撮影するだけ。デプスカメラとタブレット標準装備のRGBカメラの画像を合成することで、対象の鉄筋を的確に抽出して、鉄筋の本数と鉄筋間の距離を自動計測する仕組みだ。他にも、継手長計測(2点指定の距離計測)やコンクリート表面(型枠)から内部の鉄筋表面までのかぶり計測の機能も搭載している。

「鉄筋出来形自動検測システム」の概要
「鉄筋出来形自動検測システム」の概要 出典:三井住友建設プレスリリース

 電子黒板の表示もできるため、検測からクラウド上の帳票自動作成までを一気通貫で行えるだけでなく、Web会議システムなどで遠隔での立会い(オンライン臨場)にも使える。機器の総重量も1キロ以下のため、可搬性に優れ、撮影時に負担となることもない。

出来形検測を大幅に省力化する「鉄筋出来形自動検測システム」
出来形検測を大幅に省力化する「鉄筋出来形自動検測システム」

 日立ソリューションズとシステム開発に関わった三井住友建設の吉野優磨氏は、「こうした建設ICTの導入に際しては、最初は慣れなず、使用することに抵抗があったり、手作業と変わらないと感じたりネガティブに捉えることがあるだろう。しかし、多くの人が使えば、意見を取り入れてシステムが改善されるし、(普及が進めば)開発コストも下がるので、ぜひさまざまな方に手に取ってもらいたい」と要望した。

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