インフラ分野横断の3次元地理空間情報プラットフォーム「TerraVerse」 PLATEAUやBIM/CIMのデータを一元管理:GIS
パスコは、都市計画やインフラ、BIM/CIM統合モデルのシミュレーションなどの用途で、行政や組織を横断する3次元地理空間情報のデータ配信プラットフォーム「TerraVerse」の提供を開始した。
パスコは、3次元地理空間情報の有効活用を支援するためのサービスとして、3次元地理空間情報データ配信プラットフォーム「TerraVerse(テラバース)」の提供を2023年5月18日に開始した。
TerraVerseの利用により、独自にサーバを用意することなく、短期間で3次元地理空間情報データの配信や活用環境が構築できる。
多種多様なデータの保存・管理・変換・配信サービスを提供する「TerraVerse」
国土交通省は、働き方の転換と抜本的な生産性や安全性向上を図るため、5Gなどの基幹テクノロジーを活用したインフラ分野のDXを強力に推進している。2022年度はインフラ分野のDX「挑戦の年」と位置付け、同年3月には「インフラ分野のDXアクションプラン」を策定。アクションプランでは、行政手続きのデジタル化、3次元地理空間情報データを活用した正確でリアルな情報共有、現場作業の遠隔化・自動化・自律化を柱として、各分野の横断的なつながりを目指している。
そのために、3次元都市モデルの整備・活用・オープンデータ化プロジェクト「PLATEAU(プラトー)」やBIM/CIMなどのデータを一元的に保管する「DXデータセンター」など、インフラ分野のDXを支える基盤の構築も進めている。
TerraVerseは、パスコが取り扱う米Skylineの地理空間情報データ管理・配信環境構築用ソフトウェア「SkylineGlobe Server(スカイライングローブ サーバ)」を活用した3次元地理空間情報データ配信プラットフォームサービス。SkylineGlobe Serverを購入しなくても、同様の機能をサービスとして利用可能だ。
扱うデータは、2次元/3次元の地理空間情報データに加え、写真/画像、CAD、BIM/CIMモデルにも対応。保存したデータは全て自動でカタログ化されるため、任意のレイヤーで簡単に検索できる。
TerraVerseから配信されるデータは、Skyline製3次元ビジュアライゼーションソフトウェア「TerraExplorer」シリーズをはじめ、ESRI製GISやオープンソースGISのQGIS、セシウムベースのソフトウェアなどで扱える。TerraExplorerシリーズで利用する場合は、インターネット上で公開されているオープンデータも読込み、重畳も可能だ。
データセキュリティに関しては、契約ごとに仮想のプライベートエリアを構築し、カスタム認証、ユーザー権限設定などで、安全を確保する。
また、TerraVerseのサービス開始に併せて、Skyline製「TerraExplorer for Desktop」で、河川や砂防の業務支援オプションも提供を開始する。オプションは、国土交通省「河川管理用3次元データ活用マニュアル(案)」で求められる3次元ビュワー機能の一部をパスコの業務経験を踏まえ、国や自治体における河川維持管理や砂防施設管理に必要な機能が盛り込んだ。
具体的には、任意の範囲を選択して体積や面積の計測、GPS(Exif)情報付き画像表示、複数地点のクリックで地点間の断面図作成、データの属性値に含まれる情報をレイヤーをまたいで一括検索などの機能を拡充した。
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