ドローンとAI解析で道路や駐車場の“混雑度を見える化” 竹中工務店が万博工事に向け実証:ドローン
竹中工務店は、自律飛行するドローンの空撮画像をリアルタイムにAI解析することで、道路や駐車スペースの車両台数を判定し、データ連携による混雑度見える化の実証実験を行った。
竹中工務店は、大阪市の咲洲で自律飛行するドローンの空撮画像をリアルタイムにAI解析することで、道路や駐車スペースの車両台数を判定し、データ連携による混雑度見える化の実証実験を行ったと2023年4月10日に発表した。実証実験は、2025年大阪・関西万博会場の建設工事が2023年春から開始されるのに先立ち、建設工事や移動/搬送の円滑化にドローンを活用することの有効性を検証し、運用ノウハウを習得することを目的に実施した。
日々変化する建設現場での混雑度の把握にも有効
実証現場では、建物屋上にドローン用のポートを構築し、そこから自律/自動飛行するドローンで、周辺道路や敷地内駐車スペースをホバリング中に空撮。取得した画像はAIで解析し、車両台数をカウントすることで混雑度の見える化した。
空撮画像内で、車両台数をカウントしたいエリアを指定できるツールも開発。ドローン空撮画像による車両台数の判定には、ドローンの自動飛行とホバリング、適切な高度や角度による撮影が求められる。今回は、ノウハウを蓄積するとともに、空撮画像AI解析による車両混雑度把握が可能で、実プロジェクトに適用できるレベルだと証明された。
これまで混雑度を把握するには、道路に固定センサーを設置して走行車両の検知や駐車スペースでは入退車両計測などが一般的だった。ドローン空撮による見える化は、日々変化する建設現場内や周囲の駐車環境にも対応し、自由度が高く、必要な時に必要な場所の状況を把握できるのが特長となっている。
実験に際しては、NTTコミュニケーションズがLTE上空利用プランを用い、ドローンの空撮データをリアルタイムでAI解析し、車両台数データをもとに、三菱総合研究所がダッシュボード上で混雑度を可視化した。ドローン飛行では、センシンロボティクスがドローン飛行地域のAI気象予測を活用し、ドローン飛行可否判定のうえで自律飛行。関西電力は、人手によるバッテリー交換の必要がなくポートに着陸するだけでドローンに自動充電が可能な非接触充電を検証した。
竹中工務店は今後、本実証実験で得られた知見を生かし、夢洲地区をはじめさまざまな地域で多様なドローンの活用による建設工事や移動/搬送の円滑化を図っていくとともに、その先のスマートシティーでのソリューション展開にもつなげていくとしている。
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