河北総合病院にAI警備「アジラ」を試験導入、初期コスト0で医療スタッフの負担軽減:FM
東京都杉並区の河北総合病院は、AI警備による病院の施設安全性強化や空間価値のさらなる向上を目的に、AI警備システム「アジラ」を試験導入した。
行動認識AIのスタートアップ企業のアジラは2023年4月20日、東京都杉並区の河北総合病院分院で、AI警備システム「アジラ」を試験導入し、転倒や事故などの早期発見、夜間警備の質向上を目的とした実証実験を開始すると発表した。アジラは日本とベトナムの共同創業者による2015年の設立以降、「Technology Driven Future」を理念に掲げ、行動予測から事件や事故の未然防止や快適な生活環境づくりをサポートしている。
人の通常行動をAIが学習し、逸脱した危険行動を検知して事故を未然防止
現代の医療現場は、高齢化社会に伴う転倒事故の増加や緊急時の迅速な対応が不可欠であり、病院での患者の安全確保が今まで以上に重要となっている。加えて、医療スタッフの業務負担も増加傾向にあり、夜間の見回りや緊急対応が求められる状況も厳しさを増している。
こうした背景を踏まえ、河北総合病院では施設警備の質向上と業務効率化を目的とした新たな取り組みで、AI警備システムのアジラを利用した実証実験を実施することを決めた。国内病院でのアジラの本格実証実験は、初めての取り組みだという。
AI警備システムのアジラは、防犯カメラの映像から異常行動や不審行動を瞬時に検知し、通知を行うシステム。転倒やふらつきの早期発見など緊急時に迅速に対応できる体制を整え、夜間の見回りなどの負担軽減も見込まれている。
アジラの特徴は、各カメラ画角で人の通常行動をAIが自律学習し、学習した通常行動から逸脱した動き(同じ画角内でうろうろしている、きょろきょろしているなど)を「違和感行動」として検知。不審な行動(千鳥足、ふらつき、違和感行動)や予期しない異常行動(転倒、卒倒、ケンカ、破壊行動)を網羅的に捕捉して、1秒以内に監視モニターなどに即時通知することで、事件や事故の未然防止につなげる。
数百台規模のカメラ映像でも、AIが常に映像をモニタリングし、異常が起きた際は自動で検知して素早く知らせる。カメラは既設のものをそのまま利用可能なため、導入の障壁になりやすい初期コストの負担がない。解析には、サーバ1台で最大50台分のカメラ映像をカバーするため、多数のカメラが設置されている大規模な施設では、運用コストをその分低く抑えられるメリットがある。
他にも映像は、人物を骨格で認識し、行動認識AIで人の動きの特徴を検知して保存するため、システム上で個人情報は保護されている。さらに、カメラごとの環境に合わせて自動的にチューニングするので、検知の必要がない事象を除くため、不要な通知も減らせる。
アジラによると、将来は院内のカメラにアジラを実装し、病院患者の安全確保やスタッフの負担軽減を実現させるとしており、先行して行う実証実験では17台のカメラを用いて、2023年4月から6月までの期間で検証する。
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