リアルタイム映像解析による工場設備の「異常検知システム」を構築、NECファシリティーズ:FM
NECファシリティーズは、施設管理の業務効率化に向け、リアルタイム映像解析による工場設備の異常予兆検知システム「NEC DFM PresagioII」を構築した。今後は、システムを活用し、施設管理業務のアウトソーシングサービスの作業効率と品質を一層向上させ、目視点検作業の代替範囲を拡大したい考えだ。
NECファシリティーズは2022年12月20日、施設管理業務を対象に、リアルタイム映像解析による工場設備の異常予兆検知システム「NEC DFM PresagioII(プレサジオツー)」を構築したと発表した。
点検作業者による巡回点検から、自動監視へ代替
工場設備の経年劣化に伴い、ボイラーなど各種インフラ設備の状態を管理する重要性は高まっているが、一般的な工場設備には遠隔での集中監視ができていないものが数多くあり、点検作業者による巡回点検で、設備の稼働状況や異常の有無を目視で確認しているのが現状だ。
また、点検作業者そのものも、昨今の人材不足により、その確保や育成に時間をかけることが難しくなっている。加えて、現状の集中監視システムも、老朽化対策や改修コストの負担増などの問題を抱えている。
巡回点検の約7割は目視による点検作業のため、巡回点検の効率化には目視点検の自動化が有効となる。目視点検にはアナログ・デジタルメータの読み取りや制御盤のランプ点灯確認、設備の表示パネルの内容確認といった多様な対応と、目視で得た情報をもとに異常を判定するノウハウが求められる。
NECファシリティーズでは、2021年4月に3Dウォークスルービューと振動診断の仕組みを組み合わせた設備の異常予兆検知システム「NEC DFM Presagio」をリリースし、巡回点検の効率化に取り組んできた。
今回はキヤノンマーケティングジャパンの協力を得ることで、NEC DFM Presagioに、生産現場の自動化など生産性向上を支援する画像処理ソフトウェア「Vision Edition」の機能を追加し、バージョンアップを図った。NEC DFM PresagioIIの現場での適用により、点検作業者による巡回点検から、自動監視へ置き換えていく。
異常予兆検知システムには、施設管理業務のノウハウによる監視ポイントの選定やリアルタイム映像解析と熟練技術者による基準値、正常状態の定義付けといった特長が列挙されており、現場での省力化につながることが期待されている。
NECファシリティーズは今後、キヤノンマーケティングジャパンと協力し、水漏れや蒸気漏れなどのトラブル検知にも着手し、検知システム機能をさらに強化して、目視点検作業の代替範囲を拡大したい考えだ。
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