洋上風力発電の建設作業を支援するウェザーニューズの「ANEMOI」、15日先までAIで海上気象を予測:AI
ウェザーニューズは、AIで波や風、天気などを高精度に予測し、洋上風力発電の建設作業を支援するサービス「ANEMOI(アネモイ)」を開発した。ANEMOIには、作業船の運航可否や航路選定をサポートする「運航可否判断支援」、建設やメンテナンスの作業リスクを可視化した「作業計画支援」などが用意されている。
民間気象情報会社のウェザーニューズは2023年3月7日、洋上風力発電設備の建設作業を支援する海上作業支援サービス「ANEMOI(アネモイ)」の提供を開始したと発表した。
洋上風力発電の建設/メンテナンスの約2週間先までの作業可否判断に
近年、CO2排出量削減に向け、グリーンエネルギーの活用が進んでおり、特に海外では洋上風力発電所の建設が増えている。発電設備の建設やメンテナンスは、海上作業のため、高精度な波や風の予測データが必要不可欠となる。
そこでウェザーニューズは、洋上風力発電市場に対し、安全かつ効率的な海上作業を支援する新サービスのANEMOIを開発した。加えて、洋上風力発電市場向けに高精度独自モデル「EMOTION(エモーション)」も構築。EMOTIONは、世界中の海上の波や風を1時間ごとに72時間先まで予測する。
従来は海上の波や風の予測データの解像度は海外を含め5キロメッシュが一般的だったが、モデルでは1キロメッシュの解像度で予測。建設現場には事業性調査段階から観測機が設置されていることが多く、その過去データや建設作業中、運用中に観測するリアルタイムデータを取り込み、AIで即時に補正し、精度をより高めるバージョンアップも予定している。
ANEMOIでは、作業船の運航可否や航路選定を支援する「運航可否判断支援」、建設やメンテナンスのリスクを可視化した「作業計画支援」を用意している。また、海上の高精度な気象データも1キロメッシュの解像度で予測。洋上風力発電に関わる事業者にとっては、約2週間先までの工程計画の策定や作業可否の判断に役立てられる。
ANEMOIの先行利用は2022年3月以降、デンマークの大手電力事業者Orsted(オーステッド)が洋上風力発電設備の建設やメンテナンスで採用している。ANEMOIの気象データ予測精度は高く評価されており、現在は台湾の彰化県沖で建設中の洋上風力発電所「Greater Changhua 1 & 2a」で活用されている。
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