KDDIテクノロジーがAIを用いて構造物のサビを自動検出・分析する技術を開発、2023年初旬にサービス開始:AI
KDDIテクノロジーは、AI画像認識技術を活用し、鉄塔などのサビの自動検出技術を開発した。新技術は、AIによる画像検出技術とディープラーニングを用いたサビの検出エンジン、サビの濃さと腐食面積率の分析の3要素から成る。
KDDIテクノロジーは2022年10月19日、設備・施設点検を自動化する取り組みとして、AI画像認識技術を活用してサビの自動検出技術や濃さ、腐食面積率を分析する技術を開発したと発表した。
設備・施設点検の完全自動化、故障予知の自動化を目指す
鉄塔などの点検は、高所に人が上って点検を行う必要があり、命を落とす可能性もある。そのため、さまざまな設備での人による高所作業を減らすことで、命を守ることができる。また、目視によるサビ品質確認や報告書の作成などの単純作業に、多くの人手と時間を要しており、日常業務の効率化と分析精度の向上が期待されている。
今回、開発したのは、深層学習(ディープラーニング)を用いた画像認識を活用したサビの自動検出を実現する検出エンジンに加え、サビの濃さの定量分析技術、サビの腐食面積率の分析技術の3つ。
サビの自動検出技術では、ディープラーニングでサビの輪郭までを含めた領域を検出する。定量分析では、KDDIテクノロジーのオリジナルアルゴリズムにより、サビの濃さを定量化。独自の物理モデルを用いて計算を行い、人が目視で感じる濃さに近い値を出力できるとしている。検出結果は、サビの濃さに応じてグラデーションで表示し、サビの色情報に関する詳細な分析が可能になる。
今後は、従来は作業員が目視で評価をしていたサビの点検を自動分析できるサービスを2023年初旬にも開発する見通しだ。実用化となれば、「サビの劣化度のランク」を濃度と腐食面積率の2軸の観点を4段階で定量化することで、閾値を設けて自動判定することが実現する。
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