UFC道路橋床版を高速道路本線の床版取替工事に適用:導入事例
阪神高速道路と鹿島建設は、超高強度繊維補強コンクリートを用いた「UFC道路橋床版」を、阪神高速12号守口線本線の床版取替工事に適用した。以前の工事と比べ、床版架設の工程を半減し、通行止め期間を大幅に短縮した。
阪神高速道路と鹿島建設は、超高強度繊維補強コンクリート(Ultra-high strength Fiber reinforced Concrete)を用いた「UFC道路橋床版」を、阪神高速12号守口線本線の床版取替工事に適用した。
UFC道路橋床版を適用した高速道路本線の床版取替工事は国内で初めてで、2018年の阪神高速15号堺線玉出入口の床版取替工事と比べ、床版架設の工程を半減し、通行止め期間を大幅に短縮した。
高速道路の床版取替工事では、高度成長期に作られた床版を、現行の設計基準で設計された床版に取替える際、床版が厚く重くなるため、床版を支える鋼桁、橋脚、基礎構造などに補強が必要となる場合がある。そのため、阪神高速道路と鹿島は、2011年から軽量かつ耐久性の高いUFC道路橋床版の開発に取り組んできた。
2018年には、玉出入口においてUFC道路橋床版を適用した床版取替工事を行い施工方法の課題を抽出、通行止め期間の短縮や幅員方向分割施工が求められる、幅員が広く通行止めの影響が大きい高速道路本線への適用を目指し、さらなる工程短縮を検討してきた。
具体的には、その場で旋回できる専用架設機を採用し、本線上に設置した専用架設機でトラック荷台のUFC床版を直接受け取って旋回、所定の位置に運搬して架設することで架設作業の効率化、工程を短縮した。
UFC床版と鋼桁は、一般的に床版架設後の床版の貫通孔からずれ止めスタッドを設置する。今回は、一般的なものより短いずれ止めスタッドをあらかじめUFC床版と鋼桁に設置し、間詰材に高強度なUHPFRC(Ultra High Performance Fiber Reinforced cement-based Composites)を採用、貫通孔を半分程度に削減するずれ止め構造とした。工程の短縮と床版への雨水などの浸入低減に伴い耐久性を向上した。
同工事では、幅員の広さに対応するため中央分離帯の位置で床版を2分割した。床版同士の接合部となる橋軸方向の目地にUHPFRCを適用し、通常のコンクリートよりも鉄筋継手の長さを短く、目地幅を4割程度低減し、工程を短縮した。目地幅を小さく床版幅を大きくすることで、車両の通行幅をより広く確保した。
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