リファイニングで築45年の旅館を耐震化、ミサワホームと青木茂建築工房:リファイニング建築
ミサワホームは、築45年の歴史を持つ老舗旅館にリファイニング建築による耐震改修および大規模リニューアルを実施した。リファイニング建築を提唱する青木茂建築工房とのコラボレーション事業第3弾となる。
ミサワホームは2019年9月、リファイニング建築を提唱する青木茂建築工房とのコラボレーション事業として、山陰エリア最大級の大浴場を持つ築45年の老舗旅館に対するリファイニング建築による耐震改修および大規模なリニューアルを実施した。築50年以上の職員住宅を賃貸住宅に用途変更した「旧初台公宅用地有効活用事業」や築36年の専門学校校舎を賃貸住宅に再生した「ASPRIME千代田富士見」に続く第3弾のコラボ事業となる。
リファイニング建築とは、用途変更や大胆な意匠転換などにより新築同などによみがえらせる建築再生手法。既存躯体の約80%を再利用するため、環境負荷や建築コストを抑えつつ新築同などの内外観を維持できる。長期スパンで施工を重ねていけば建物の長寿命化も可能だ。また営業を継続しつつ施工できることもリファイニングの特長の1つ。今回のリニューアル工事中も旅館の営業活動への影響は最小限に抑えられている。
今回リニューアル対象となった鳥取県の旅館は、S造、RC造、SRC造、地上8階建。既存建物の建築から45年が経過し、耐震改修促進法に基づく要緊急安全確認大規模建築物に該当した。今回のリファイニングでは、旅館の魅力となっていた眺望の良さや内外観の風情を生かすべく、ブレースによる補強は行わず、主に既存の壁を補強することで耐震性を確保した。また旅館の中核施設である大浴場の設備とデザインを大規模にリニューアルした。
全国には旧耐震設計基準で建設された建築物が数多くあり、早急な耐震化が求められている。ミサワホームでは、環境にやさしく資産価値をよみがえらせるリファイニング建築を通じて、国や自治体が支援している耐震改修の促進や空き家問題などの解決に向けた事業を加速させたいとしている。
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