バーチャル空間の3Dモデルで工場の稼働状態を確認可能な新サービス、清水建設:デジタルツイン
清水建設は、工場建設の初期設計段階から運用段階に至るまで、デジタルツインを継続的に活用しながら、施設価値の最適化を図るエンジニアリングサービス「Growing Factor」の提案活動をスタートした。今後は、Growing Factoryを中核に据えて、初期設計段階から運用段階まで工場のライフサイクルにわたるエンジニアリングパートナーとして、製造業の顧客を対象に生産活動をサポートしていく。
清水建設は、工場建設の初期設計段階から運用段階に至るまで、デジタルツインを継続的に活用しながら、施設価値の最適化を図るエンジニアリングサービス「Growing Factory(グローイングファクトリー)」の提案活動を2022年12月16日に開始した。
デジタルツイン上の稼働シミュレーションで各モデルの諸性能を事前検証可能
近年の工場建設では、労働力不足や働き方の変化を背景に、生産ラインの自動化と省人化が求められている。脱炭素社会の実現に向け、省エネルギー化やカーボンニュートラルの取り組みにも注力しなければならない。
上記のニーズに対応するためには、将来の市場環境変化も踏まえながら、限られた事業予算の中で費用対効果を最大化する施設計画を立案することが重要だが、その検証作業には膨大な時間と手間を要する。
そこで、清水建設は、Growing Factoryの提案活動を開始した。Growing Factoryでは、独自開発した生産シミュレーターと3Dプラントモデルの連携システムを利用し、設計段階からバーチャル空間にプラントモデルのデジタルツインを構築できる。このモデル上で複数回の稼働シミュレーションを行い、各モデルの諸性能を事前検証することで、短時間で最適な施設計画を導出する。
加えて、工場稼働後もデジタルツインを継続的に活用し、稼働データと設計データの比較検証を通じて運用改善を図ることで、時代の変化に合わせて、工場の成長を支援可能。
なお、設計段階のエンジニアリングでは、バーチャル空間に建設した複数の工場プランに対して稼働シミュレーションを実施し、イニシャルコスト、ランニングコスト、品目別生産能力などを検証した上で、事業予算と整合した最適な工場プランを提案する。
ちなみに、提案に基づき全体構想を確定させた後、ニーズに応じて、工場内の生産と物流ラインの自動化・省人化の検討を行い、シミュレーション結果に基づき製造設備や搬送機器の最適な組み合わせを算出。
工場稼働後は、稼働データを基に、生産ラインのボトルネックやライン稼働率、構内物流をデジタルツインで可視化し、市場環境の変化も踏まえながら、改善策の検討と実践、工場の稼働率向上に継続的に取り組める。
また、カーボンニュートラルに応じるために、工場の電力使用データと過去の実績データをデジタルツインで比較検証することで、エネルギーの使用特性を解析し、使用電力の削減を推進。加えて、工場立地に即した創エネルギー設備の導入やグリーン電力の活用も状況に応じて検討し、カーボンニュートラルな工場を実現する。
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