建設業向けCO2排出量計測管理サービスの開発に着手、大成建設とリバスタ:カーボンニュートラル
大成建設は、リバスタとともに、既存のCO2排出量計測管理に関するノウハウと豊富な現場データを活用した「建設現場で発生するCO2排出量の計測管理サービス」の開発に着手した。今後、両社は、CO2排出量管理サービスの開発を行い、大成建設の建設現場への導入と評価を経て、リバスタから製品として販売し、業界に広く展開するとともに、継続して当該サービスの機能強化を進めていく予定だ。
大成建設は、リバスタとともに、既存のCO2排出量計測管理に関するノウハウと豊富な現場データを活用した「建設現場で発生するCO2排出量の計測管理サービス」の開発に着手することを2022年12月9日に発表した。
「T-CARBON Watch」で得たノウハウを活用
国内では、政府が2020年10月に公表した「2050年カーボンニュートラル宣言」を受けて、CO2排出量の抑制と削減への取り組みが加速している。建設業界でも、建築物の設計、資材の調達、施工、運用、改修、解体、とくに建設現場での活動が主体となる施工段階で、CO2排出量をいかに削減していくかが重要となっている。
上記の建設ライフサイクルでCO2排出量を減らすためには、建設作業の進捗に応じてCO2排出量をタイムリーかつ精度よく把握する必要がある。
しかし、建設現場では、工事内容が多岐にわたり、さまざまな専門業者が個別に建設機械や電動機材を使用していることから、CO2排出量の把握には、建設機械や搬出入車両の台数情報、燃料、電気などの購買伝票を各専門業者から回収し、表計算ソフトなどに転記・集計しなければならず、膨大な手間と時間がかかるという問題があった。
そこで、大成建設とリバスタは、大成建設がこれまで培ってきたCO2排出量計測管理のノウハウと、リバスタが蓄積している豊富な現場データを活用し、建設業向けCO2排出量計測管理サービスの開発に着手した。
なお、大成建設では業界に先駆け、建設現場で発生するCO2排出量を効率的に計測と集計する独自システム「T-CARBON Watch(ティーカーボン ウォッチ)」を2021年に開発し、その運用を通じて管理ノウハウを蓄積してきた。T-CARBON Watchでは、担当者の入力作業を省くために、多様な情報を用いて、CO2排出量を自動的に計測と集計している。
具体的には、カメラとAIの画像認識機能によるスポット入場重機・車両情報、電力会社のホームページに掲載された電気使用情報、燃料供給業者から提供される現場内での給油情報、社内システムで集計された燃料購入情報、電子マニフェストデータによる廃棄物運搬情報といったデータを取り込み活用することで、建設現場でのCO2排出量の管理自動化を促進し、建設機械や搬出入車両の台数、燃料、電気の各種情報を入力する手間や時間を削減する。
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