設計事務所では国内初、日建設計がTCFD提言に基づく気候変動に関する情報を開示:カーボンニュートラル
日建設計はWebサイトで気候関連財務情報開示タスクフォース、いわゆるTCFD提言に基づいた気候変動に関する情報を開示した。今回の開示で、全職員が気候変動問題に取り組むきっかけとしたい考えだ。
日建設計は2022年11月1日、Webサイトで気候関連財務情報開示タスクフォース、TCFD(Taskforce of Climaterelated Financial Disclosures)提言に基づいた気候変動に関する情報を開示したと発表した。TCFDに基づく情報開示は、設計事務所では国内初となる。
2050年に温室効果ガス排出ゼロとする「気候非常事態宣言」を表明
TCFDコンソーシアムによると、TCFDとは気候関連の情報開示や金融機関の対応をどのように行うかを検討するタスクフォースを指す。2017年6月には最終報告書を公表し、企業などに対して気候変動関連リスクや機会に関するガバナンスや戦略、目標などを公開するように推奨している。
日建設計では「多彩な経験を組み合わせ、豊かな体験を届ける」という意味の「EXPERIENCE, INTEGRATED」タグラインを設定しており、Planners、Architects、Engineersといった専門性を融合したうえで思いと知恵と技術を集中。新しい価値を持つ空間づくりや社会の仕組みづくりに挑戦していくことで、クライアントと社会に貢献するという姿勢を表している。
さらに、日建設計の「経営計画2021-25」には、「社会環境デザインプラットフォームへ向けた進化」とのビジョンが描かれており、数々の境界を超えて社会課題解決の先導役を担うことやカーボンニュートラル実現が最優先課題と明記した。
日建設計が設計した建築から排出される温室効果ガスは日本全体の約100分の1にもなる。そのため2021年3月、日建設計は企業活動に起因する温室効果ガス排出を2050年にゼロとする「気候非常事態宣言」を表明。2021年から2050年で必要となる対策を年次計画で提示するなどとしており、今回の情報開示につながった。今後は自社の業務を俯瞰し、全職員が気候変動問題に取り組むきっかけとしたい考えだ。
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