循環型の木材活用に向け、清水建設が群馬県川場村で植林・育林活動を開始:カーボンニュートラル
清水建設は、群馬県川場村で、需要拡大が見込まれる木造・木質建築物に利用する木材の循環調達を推進する取り組み「シミズめぐりの森」プロジェクトを開始した。今後は、林地の下草刈り、枝打ちなどの手入れを継続的に行いながら、植栽面積を順次拡大していく見込みだ。また、活動の一環として、現在、建替工事を進めている清水建設の「東京木工場(江東区木場)」で用いる建材の一部に川場村産の木材を活用する。
清水建設は、群馬県川場村で、需要拡大が見込まれる木造・木質建築物に利用する木材の循環調達を推進する取り組み「シミズめぐりの森」プロジェクトを開始したことを2022年11月1日に発表した。
第1回目の植林ではカラマツの苗木400本を植樹
建設業界では、カーボンニュートラル社会の実現に向け、環境負荷が少ない建材として木材の活用を促進する取り組みが増えつつある。一方、国内では、戦後に植林されたスギやヒノキといった針葉樹が伐採期を迎えており、国産材の活用が求められている。
加えて、森林資源を持続的に活用していくためには、伐採した古木に代わる若木を新たに植え直し、適切に育成していく必要もある他、若い木はCO2の吸収量が古木よりも多く、CO2削減の観点からも、育林、伐採、再造林のサイクルをしっかりと構築することが重要だ。
こういった状況を踏まえて、清水建設は、需要家として木材を単に購入・利用するだけでなく、持続可能な循環型の木材活用を達成するべく、以前から森林資源の利活用プロジェクトで協働してきた川場村を拠点に、植林・育林活動としてシミズめぐりの森プロジェクトに取り組むこととした。
シミズめぐりの森プロジェクトでは、木材を消費する需要家が森林資源の再生に主体的に取り組み、循環型の木材活用を推進している。具体的には、川場村にある3ヘクタールの村有地を清水建設が植林地として借り受け、最大で50年間にわたり、同社の事業で使う木材を産出するために、森林の育成を行う。
なお、2022年10月31日に実施した第1回目の植林作業では、清水建設と協力会社の関係者約50人が参加し、約2000平方メートルの植栽場所にカラマツの苗木約400本を植樹した。加えて、利根沼田森林組合と協力し、植林後の手入れ作業も、清水建設や協力会社の建設業従事者が主体となって進めている。
ちなみに、植林した木が40年目を迎えた際には、伐採適齢期に達した木々を建材化し、清水建設が施工を担当する建築物に活用していく。
また、清水建設では、川場村が2015年に開始した森林資源活用型コンビナート事業に参画し、地域の豊富な森林資源を持続可能な形で活用しながら地場産業の創出を図る取り組みを支援。
この事業では、森林資源の地産地消を目指し、利根沼田森林組合が管理する2万7200ヘクタールの民有林から発生する間伐材を活用した木材製品の加工・販売や加工後の端材を燃料とするバイオマス発電、発電の排熱を利用した農産物の温室栽培などを実施している。
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