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滋賀県東近江市のPCa部材製造工場に水素蒸気ボイラーを導入、三井住友建設:導入事例
三井住友建設は、滋賀県東近江市の能登川工場で、再生可水素蒸気ボイラーを建設業界で初めて導入した。また、同社は、「中期経営計画2022-2024」の基本方針として、「成長分野への挑戦」を掲げ、サステナブル社会に向けた取り組みを強化している。
三井住友建設は、プレキャストコンクリート(PCa)部材を製造する能登川工場(滋賀県東近江市)で、再生可能エネルギー(太陽光)を用いた脱炭素化への取り組みとして、運転稼働時にCO2排出ゼロの水素蒸気ボイラーを建設業界で初めて導入し、運転を開始したことを2022年11月1日に発表した。
水素製造装置や貯蔵設備の導入と太陽光パネル設置を2023年秋までに実施
同社は、2050年カーボンニュートラル(CN)に向けたロードマップを2021年11月11日に策定し、保有するPCa製造工場でもCNの実現に取り組んでいる。
能登川工場では、工場全体で排出されるCO2の約6割はPCa部材製造時に使用する蒸気ボイラーで生じている他、CO2排出量の約2割はコンクリート製造プラントやクレーンなどの稼働時に使用する電力で発生していた。そこで、三井住友建設は、水素蒸気ボイラーを能登川工場に導入した。
今後は、水素製造装置や貯蔵設備の導入と工場建屋屋根への太陽光パネル設置を2023年秋までに行い、再生可能エネルギー(グリーン水素)を用いた蒸気ボイラーの稼働に移行する。
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