9%の生産性向上を実現した油圧ショベルを発売、キャタピラージャパン:新建機
キャタピラージャパンは、オフロード法2014年基準に適合した「Cat 352 油圧ショベル」の販売を開始した。Cat 352 油圧ショベルでは、建設現場だけでなく、砕石や鉱山などの現場で稼働することを想定し、現場に合った下部走行帯が選択できる仕様を用意している。
キャタピラージャパンは、オフロード法2014年基準に適合した「Cat 352 油圧ショベル」を2022年10月20日に発売した。
従来機と比較してエンジン馬力を4%アップし油圧馬力を10%向上
Cat 352は、従来機と比較して、エンジン馬力を4%、油圧馬力を10%向上している他、安定性アップを目的にカウンタウェイトを9%増量している。こういった特徴により、従来機比で最大9%の生産性向上を実現した。
さらに、VTG可変容量ターボチャージャを採用したため、エンジン回転数に応じて最適なタービン出力を達成し、従来機と比べ、低いエンジン回転数で最大馬力を得られ、低燃費と高生産性を両立している。
車体には、ペイロード計量システム「Cat Production Measurement(CPM)」を搭載し、ブームとアームを停止させることなく、正確に積荷の重さを測れる。なお、作業をしたまま持ち上げ旋回中に計測する。CPMは、過積載や過少積載の予防に貢献するとともに、砕石現場で原石の生産性を管理することができ、取得したデータはキャブ内のモニターからUSBにダウンロード可能なため、生産性の見える化に役立つ。
作業範囲制限機能「E-フェンス」も備えている。E-フェンスは、設定した角度に近づくと旋回の動きを自動停止することで、旋回による接触や衝突のリスクを軽減する。フロント作業機の作業範囲を制限する機能も搭載し、現場で安全に作業が行える。
積込み時に旋回操作を往復するような作業で旋回が自動的に停止する「旋回アシスト」機能も搭載。旋回アシスト機能は、停止前の減速で荷こぼれを防ぐ。加えて、搭載された「プロダクトリンク」や「VisionLink(ビジョンリンク)」といった機能を利用することで、車両の位置や状態を把握し適切な機械管理が行え、燃料消費量やアイドリング時間の分析によりコストも減らせる。CPMの積載データ管理もプロダクトリンクで行える。
安全性に関して、車両後方と右側方の視界を確保するカメラを標準装備しているだけでなく、オプションの「360度ビューシステム」を備えると、油圧ショベル全周の良好な視界を得られ、油圧ショベル周辺の障害物や作業者を1つの画面で容易に確かめられる。
メンテナンス性について、メンテナンス間隔の延長やメンテナンス作業の容易化により、メンテナンスコストを軽減した。また、燃料フィルターの交換間隔は従来の500時間から1000時間に延長し、メンテナンスにかかるコストと手間を減らした。
ラインアップは、運転質量などが異なる「352 固定式下部走行帯(FG) 油圧ショベル」と「352 拡幅式下部走行帯(VG) 油圧ショベル」の2種類。標準販売価格(販売標準仕様、工場裸渡し、税別)は、Cat 352 FGが6869万3500円で、Cat 352 VGは7264万円。
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