鹿島が建設CO2排出量の削減で新目標、2030年度に自社排出で40%減目指す:カーボンニュートラル
鹿島建設はCO2排出量削減の新たな目標を設定し、2030年度の中間目標を自社排出(スコープ1・2)で40%削減、サプライチェーン排出(スコープ3)についても中間目標25%削減と定めた。
鹿島建設は2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、鹿島環境ビジョン「トリプルZero2050」を見直し、CO2排出量削減の新たな目標を設定した。
具体的には基準年を2013年度から2021年度に見直した上で、2030年度の中間目標を自社排出(スコープ1/2)で40%削減、サプライチェーン排出(スコープ3)についても中間目標を25%削減とした。最終的には、2050年度に自社排出とサプライチェーン排出の双方でカーボンニュートラル(100%削減)を目指す。
建材製造時と建物運用時のCO2削減を拡充
鹿島建設グループ全体でサプライチェーンCO2排出量の内訳は、施工時(スコープ1/2)が4%であるのに対し、建材製造時(スコープ3、カテゴリー1)が56%、引渡し後の建物運用時(スコープ3、カテゴリー11)が29%と大きな割合を占めている。そこで同社は、建材製造時ならびに建物運用時に排出するCO2(スコープ3)の削減策を拡充し、サプライチェーン全体のCO2排出量削減を加速することを決定した。
具体的な取り組みとしては、建材製造時に発生するCO2の多くはコンクリートと鉄の製造過程で発生することから、2008年から「CO2-SUICOM」などの環境配慮型コンクリートを開発して現場に適用している。鉄については、低炭素鋼材へ置き換える他、建物の構造材や意匠に木質材料を採用する。
また、鹿島が注力するZEBなどの省エネルギー建物であれば、建物運用時に発生するCO2排出量の削減に貢献する。引渡し後は、グループ会社が有する建物の省エネルギー支援ツールを用いることで、運用段階でのチューニングが可能になる。加えて、低炭素エネルギーの供給などのエネルギーサービス事業を通じて建物の脱炭素化につなげるという。
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